千葉商科大学政策情報学部政策情報学科の滑川遥介です。
東京ゲームショウにてスカラー生として展示をさせていただいた経験をお伝えしたいと思います。
展示したゲームについて
私が展示させていただいたゲームは『リトライサメビト』です。
マウスのみを使ったトライアンドエラー系の2Dアクションゲームで、各ステージに設定された制限時間以内にステージをクリアするため、ダッシュをうまく活用しながら素早い移動を目指すという内容です。
このゲームは大学のゼミ活動をきっかけとして3人のチームで5月あたりから制作が始まり、私はプランナー兼プログラマー兼デザイナーを担当しています。
私が愛してやまないタイムアタックで体験した面白さだけを抽出したゲームを作り、タイムアタックの面白さを感じ取って欲しいという目標から制作を進めていました。
展示で見つかった課題
展示で最も大きく感じた課題は、3割くらいの方が序盤のステージ3で手を離してしまっていた点です。
このゲームにはクリアタイムの短縮を促すための要素として、ステージごとに制限時間が設けられているのですが、制限時間に間に合わずゲームオーバーを繰り返す方が想定以上に多かったです。
難しいと呟きながら手を離してしまう方が多かったため、これを受けて2日目では難易度を下げた状態で展示を行っていました。
しかし、難易度を下げた状態でも特に変化は無く、さらに難易度を下げる必要があるのかもしれないと感じ始めていました。
ステージ3をクリアした方はほぼそのまま最後までプレイしていたこともあり、プレイし続けてもらうという意味では難易度を下げる選択肢も思い浮かんでいました。
ただ、私はこのゲームの最も面白い瞬間を、「やり直しを繰り返していくことで徐々に自分が上達していく過程と達成感」にあると想定して制作を進めていたため、難易度をこれ以上下げると想定していたはずの面白さが離れてしまうのではないかという不安もありました。
この不安から2日目以降は難易度を下げることなく展示を進めていたため、会場にいる間はほとんどこの問題をどう解決するか考え悩んでいました。
他ブースの見学と試遊で気付いたこと
自分の番以外の時間は他のブースを見学できる時間がありました。
大規模ゲームの展示からインディーゲームコーナーの展示まで幅広く見学し、インディーゲームコーナーを中心にゲームの試遊を行いました。
というのも、大規模ゲームの試遊は整理券を持っていることが前提となっている場所が多く、ほとんどの場所が朝の時点で整理券配布が終了していました。
ただ、その中でもメタルギアの試遊は抽選での整理券配布を行っていたことが印象的でした。
抽選に外れてしまったとしても、遊べるかもしれないという期待感と抽選発表時の緊張感は楽しめる内容となっており、試遊以外の部分も遊びに変えていく考え方は勉強になりました。
そして、インディーゲームコーナーの試遊ではさまざまなゲームを遊ばせていただきました。
特に印象に残っているのは『HyperWobbler』というゲームです。
かなり大きめに光る立体的なブロックにレバーのようなコントローラーを使ってプレイするゲームなのですが、今までに無い体験の得られるゲームでとても面白かったです。
平らな画面を使ったビデオゲームとは異なり、こちらのゲームは立体的なブロックを使って遊ぶゲームだったため、目を向ける場所も立体的になってくるという点に新しさを感じていました。
座っているだけだとブロックの奥の方が見えずゲームをうまく進行できない事もあったため、椅子から立ち上がって顔を乗り出しながらプレイするなど、平面の画面では出来ないようなゲームになっている点がとても面白いと思いました。
また、試遊については他にもさまざまなゲームを遊ばせていただいていたのですが、試遊終了のタイミングが特に決められていないタイトルが複数あり、やめ時を探すことが難しいと感じることが何回かありました。
ただ、ゲームの進行が中途半端な状態で終わらせることには抵抗があったため、ゲームオーバー画面などの画面が止まった瞬間に手を離すようにしていました。
この時に気付いたことは、ゲームオーバー画面での停止には「ゲームを終了しますか?」と、遊んでいる人に問いかける効果があるのではないかということです。
特にゲームオーバー画面に『タイトルに戻る』選択肢がある場合などは、今が辞め時であるとゲーム側から教えられているような気分になることがありました。
この時にハッと思い返してみると、私が展示したゲームである『リトライサメビト』も、ゲームオーバー画面の表示をきっかけに手を離す方がほとんどでした。
これに気付いた瞬間、私が知っているトライアンドエラー系のゲームにゲームオーバー画面があるのかどうかを確認してみました。
最も参考にしていた『CELESTE』ではゲームをやめるかやめないかの選択肢を与える間も無く自動的に復活するようになっており、トライアンドエラー系のゲームとして有名な『ELDENLING』はゲームオーバー画面は表示されるものの、ゲームをやめるかやめないかの選択肢を表示することなく自動的に復活してゲームが再開されていました。
ゲームにやめるかやめないかの選択肢を表示してしまうと、本当にゲームをやめたくなる効果があるのかもしれません。
トライアンドエラー系ゲームが、プレイヤーにリトライをし続けさせるため行っている工夫に気付けた瞬間でした。
試遊を通して遊ぶ側の視点に立てたことが今回の気付きに繋がったのかもしれません。
スカラー生との交流
私の通う学校はそこまでゲームに関連していないこともあり、ゲーム作りにまつわる話を出来る機会が滅多に無いため、スカラー生との交流はとても貴重な時間でした。
特に、ゲーム音楽の作曲についての話をして貰えたことは、音楽のみ素材をお借りして制作していた私にとってかなり勉強になりました。
以前からゲーム用の音楽も自分で制作してみたいと考えていた部分があったため、今回教えてもらった話をもとに作曲もやってみようと考えています。
東京ゲームショウで過ごした4日間はとても濃密で、さまざまなものに触れる機会があったため自分の視野がかなり大きく広がったような感覚があります。
この経験を活かして、今後もより力を入れてゲーム開発を行っていきたいと思います。