「SideFX公式 さつき先生と学ぶはじめてのHoudini」書評

自己紹介

こんにちは、東京国際工科専門職大学デジタルエンタテイメント学科1年の石川敦也です。半年間、3DCGについて学習しています。私の3DCGに関する知識や経験は基礎程度で、使用経験のあるアプリケーションはMayaのみです。今回、初心者向けの本書を通じてHoudiniを学ぶ機会を得たため、初心者目線で書評をさせていただきます。

概要

本書は全9章で構成されており、Houdiniの基本操作から応用技術までを丁寧に解説しています。操作説明には、Houdiniの実際の画面を使用した図解が豊富に盛り込まれており、非常にわかりやすいです。初めてHoudiniを使う人でも取っ付きやすく、丁寧な印象を受けました。

本書の特徴として、コラムや著者の小話などが挟まれており、初心者が知っておくべき知識や情報が豊富に提供されています。著者の経験や裏話は、初心者だけでなく経験者にとっても参考になる内容です。

本書の内容は以下の通りです。

  • CHAPTER1
    CGの基礎知識から始まり、Houdiniのダウンロードや基本操作について解説されています。丁寧な説明と図表のおかげで、迷うことなく操作を行うことができました。
  • CHAPTER2 と CHAPTER3
    ジオメトリの構造やアトリビュートについて学び、独自の処理を実装しました。座標や回転角度に関する知識があると、よりスムーズに理解できると感じました。
  • CHAPTER4
    シミュレーションの基礎としてフィードバックループを学び、簡単な例を作成しました。ノードやパラメータの解説が丁寧で、躓くことなく進めることができました。フィードバックループはシミュレーションにおいて重要な概念であり、この章で基礎をしっかり学ぶことで、後の章でもスムーズに進めることができました。
  • CHAPTER5
    ボリュームを用いて成長する構造物を制作しました。制作過程では、単に目的のものを作るだけでなく、プロセスやアプローチについても学ぶことができました。
  • CHAPTER6
    Solarisを使ってシーンの構築を行いました。この章では、レイアウト、ライティング、レンダリングの機能を活用して作品を完成させました。
  • CHAPTER7
    VEXを使用して、CHAPTER3で行った操作と同様の内容を進めました。プログラム初心者でも安心して実行できるよう、丁寧に解説されています。
  • CHAPTER8
    これまでの学びを応用し、立体回転パズルを制作しました。各章の振り返りに役立つ索引があり、非常に便利でした。難しそうに見えた制作も、一つ一つ細かく解説されていたため、無事に完成させることができました。
  • CHAPTER9
    CHAPTER8で作った立体回転パズルを自動化する仕組みを構築しました。制作中、手本とは異なる結果になることがありましたが、本書には手本のデータが用意されており、それを参考に原因を特定し、解決に至りました。ノードや入力数値の参考にもなり、スムーズに進めることができました。

最後に

私は大学でMayaやプログラミングを学んでいたため、基本的な操作や知識が身についていたことから、Houdiniの操作にもすぐに慣れることができました。また、後半の章で扱うプログラミング言語についても、別の言語を学んでいたため、抵抗なく取り組めました。

これまで3DCGに触れたことのない方でも、各操作や概念が段階的に導入されているため、初めてのHoudini学習教材として本書を選んでも無理なく学習を進められると感じました。ただし、最初は視点操作やオブジェクト操作の感覚をつかむのに少し苦労するかもしれません。ノードについても理解に時間が必要だと感じました。

本書を熟読することで、手本に沿った最低限の作品を制作できるようになります。オリジナルの作品を作りたい場合も、本書を参考にパラメータやノード、オブジェクト、シーンを変更しながら制作が可能です。さらに発展的なものを作るには、数学やプログラミングの知識が必要だと感じました。

また、Mayaとの違いについても触れさせていただきます。Mayaはインターフェースがわかりやすく、レイヤーとヒストリーを基本とした直感的なワークフローでシーン制作が行えます。一方、Houdiniはすべてがノードで表現されているため、最初は複雑に感じましたが、変更や修正への対応力、レンダリング速度、カスタマイズ性に優れています。特に、流体シミュレーションやエフェクト制作には大きな強みを感じました。

本書はHoudiniの初心者にとって丁寧な解説が多く、最初の一歩を踏み出すには最適な一冊だと思います。3DCG制作経験者や他のソフトウェアからHoudiniに移行したい方にとっても、基本的な操作や考え方を学ぶことができる内容となっています。初心者でも安心して学べるので、Houdiniを学びたい方や興味を持っている方には強くお勧めします。