TGS 2023 スカラーシップ体験レポート⑤岡本航輝

IDGAスカラーシップTGSコースに参加させていただいた徳島大学の岡本航輝と申します。今回TGS2023で体験した内容を共有させていただきたいと思います。

東京ゲームショウの概要

東京ゲームショウ2023は9月21日~24日の4日間開催され、前2日の9月21日~9月22日はビジネスデイ、9月23日~9月24日は一般デイとして開催されました。

私はビジネスデイ、一般デイともに制作ゲームである「Jack A Loop」をIGDA日本ブースにて展示させていただきました。

図:IGDAでのJackALoop展示の様子

JackALoopの概要

私達の制作したJackALoopは1対1でのオンライン陣取り対戦ゲームとなっています。

JackALoop公式Xアカウント

図:JackALoopのゲーム概要

本ゲームの魅力は時間軸が重なっていく多重化の構造にあります。

このゲームにおいては1ラウンド目に動いた行動が保存されます。2ラウンド目が始まった時点でこの1ラウンドの行動が並行して再生され1対1の対戦ゲームでありながら、2対2の対戦ゲームのような感覚でプレイすることが可能となっています。

例えば、1ラウンド上で敵を倒したとしても2ラウンド上で自分が倒される前に敵を倒すことで1ラウンドでの結果を反転させることができる、のようなタイムパラドックスを発生させて戦況を掌握することを考えて遊ぶ体験ができることもこのゲームの魅力です。

図:ラウンドごとの行動とタイムパラドックスについての説明

JackALoopとTGS2023展示の問題

本ゲームをTGS2023に展示するにあたって懸念される問題点が存在しました。

それは、良好な通信環境の確保が難しいということです。本スカラーシップに参加させて頂くに際して事前に良好な通信環境の確保は難しいという情報は頂いておりました。

本ゲームはオンライン対戦ゲームであることからも通信環境の確保は必須であったため、2点対策を講じて参加させて頂くことにしました。

1点目は、Pocket WiFiを用いた通信環境の確保でした。

この対策については、会場では十分に機能することが難しい状況でした。

会場では1日目から想定以上に混雑し、通信も輻輳しており、継続的な通信を確保することはほとんど不可能と判断しました。

2点目は、ローカル環境で動作するAI対戦モードの開発バージョンの展示です。

この対策については十分に機能し、2日目以降では実際に遊んでもらえる形で展示させていただきました。

以上の知見から、今後オンラインを必須とするゲームを展示する際にはオフライン稼働可能なビルドバージョンを別途用意して展示することでスムーズな展示を推奨します。

TGS2023の展示ゲーム体験

この項ではTGS2023の展示ゲームの中から個人的に興味を持ったゲーム2作の感想を記述します。

神椿市建設中。REGENERATE/VIRTUAL REALITY

花譜 MRアーカイヴ(追憶)

QuantanoID

引用:神椿物語研究開発部Xアカウント

このゲームブースではVRゲーム展示を主にされており、特にVRノベルゲームの展示に興味を持ちました。

三本のゲーム展示の中でも神椿市建設中。はVRノベルゲームとなっており、ビジュアルノベルとしての没入感の高さとシームレスに突入するVRシューティングゲーム体験がマッチしており非常に楽しく遊ばせていただきました。

自分がVRゲームの開発を行った際には、UI表示の手法に対して課題やVR酔いに課題を抱えていました。本ゲームブースでは、自分のしたかったVR表現やVRゲームの可能性を感じることができ、ゲーム制作に対しての良い刺激になりました。

疑似ホログラムドライブゲーム「タイニードライブ」

本ゲームはセンス・オブ・ワンダー ナイト 2023(SOWN2023)のAudience Award Grand Prixを受賞された作品で、頭上に設置したトラッカーと3Dディスプレイを連動させ、どの視点から見ても立体的に見える視覚表現を行うことができるシステムの展示をされていました。

何よりも私が感銘を受けたことは、このようなゲーム表現に一石を投じるアプローチの作品がAudience Award Grand Prixを受賞されたという事実でした。

私は自分が既存のゲーム形態に囚われていたことを再認識するとともにゲームのあり方を考えるきっかけとなりました。

総評

今回のTGSでの展示及び展示の鑑賞を経験して、これまで徳島の中で開発していただけでは経験することができなかったゲーム業界の最前線を体験することができました。

また、会場には同年代の方々のゲーム展示もあり、ゲーム制作へのモチベーションと良い刺激を頂くことができました。

同じく参加されていたスカラーシップ学生の皆さんや小野さんに感謝するとともにこれからも良い体験を届けることのできるゲームを制作できるようなゲームクリエイターを目指して精進していきたいと思います。