IGDA JapanのCEDEC2023スカラーシップに参加させていただきました。京都コンピュータ学院デジタルゲーム学系ゲーム学科1回生 ゲームプログラマ志望の大野黎汐と申します。
CEDECにはゲームを制作するための技術や知識、ゲームをより面白くするための考え方を得たいと考え参加させていただきました。
CEDECスカラーシップを通しての総合的な学び
実際に講義を受講してみて、技術や知識面では知らないことが多かったです。しかし、私が目標にしている業界の凄さや厳しさ、面白さを知ることができ、私自身がこれからやっていくべきこと認識することができたのでとても良い経験になりました。
考え方の面では参考になる講義がほとんどで、どうしたらより面白くなるか、バグが起きないようになるかなどが、1つのゲームの中でもたくさん存在し、様々な工夫がされていると知ることができとても勉強になりました。
今回のCEDECの講義の中から私が受講した印象的だった講義をいくつか上げ、その講義での学びを紹介しようと思います。
印象的だった講義
『ストリートファイター6』対戦を熱く盛り上げる自動実況機能の取り組み
私はゲームの実況やゲームの大会を見ることが好きなので『ストリートファイター6』のリアルのような実況がどうやって行われているか気になり受講しました。
この講義では、『ストリートファイター6』の自動実況機能に関する原理や実装工程についての説明をされていました。私が1番印象に残った所はロールバックによって実況が嘘になってしまう問題の修正方法です。この問題の対処には、実況を約0.3秒過去のフレームを見ることでロールバックを考慮する方法がとられています。さらに過去を参照しているため1フレームの処理順序においてバトル側への影響がほぼ発生しないようになるという利点も発生しました。あえて遅らせることにより、問題の改善だけでなく、よりリアルな実況を再現するという工夫がされていてとても勉強になりました。
また発言する台詞を決めるテンションシステムもとても面白く、多くの条件を使用しリアルの実況に近づくような工夫がされていて勉強になりました。
この講義では実際のゲームの映像や台詞音声を使用して説明が行われたのでとても分かりやすく理解しやすい内容でした。音声でのゲームの盛り上げ方、同期式ゲームの問題点の修正方法を知ることができ、とてもよかったです。
1秒でファストトラベル。FORSPOKENの高速なローディングを支える Luminous Engineの技術
この講義を受講した理由は、『FORSPOKEN』のような高グラフィックでオブジェクトが多いオープンワールドアクションゲームがどのようにして高速なローディングを行っているのか興味を持ったからです。
この講義では『FORSPOKEN』の高速なローディングについての原理や処理に関する工夫について説明されていました。私が1番印象に残った所はパッケージの階層を元にした階層化です。これにより親オブジェクトのロード範囲に入ったタイミングで子オブジェクトの配置情報を読み込み、子オブジェクトのロード範囲に入ることでオブジェクトが生成され効率よくロードができる仕組みです。OctreeやBVHが使用されているとわかり、とても印象に残りました。
この講義はとても難しく私の知らない言葉がたくさん出てきました。しかし、ゲームの映像やわかりやすい図が多く使用されていて初心者の私でも理解することができました。OctreeやBVHは特にこれから勉強して使えるようになりたいと思いました。
今後の抱負
私はまだゲーム制作を始めて1年もたっておらずゲーム業界への道のりはとても長いです。しかし、今回のCEDEC2023スカラーシップで学んだことはこれからの私のゲーム制作にとても大切な内容だったと思います。私は、誰でも楽しめる、笑顔になれるゲームを制作できるように、CEDECで得たことを大切にして日々精進していきます。
今回のCEDECは、間違って現地に行ってしまい現地でオンラインパスだと知ってとても残念な思いをしたので、次回参加する機会があれば次こそは現地で参加してみたいです。