GDC 2023で開催されるGame Developers Choice Awards(GDCA)で、同式典の栄えある特別賞の受賞者が明らかになりました。はじめにビジネス、技術、ゲームデザインの画期的なマイルストーンを称えるパイオニア賞が、初の女性ゲームデザイナーとして知られるメイベル・アディス（故人）に対して贈られます。続いて生涯功労賞がゲームデザイナー、レベルデザイナー、プログラマーとして数々の賞を受賞し、『Wolfenstein 3D』、『DOOM』、『Quake』といったジャンルを代表するFPSで活躍した功績からジョン・ロメロに贈られます。
「今年のGame Developers Choice Awardsは、ゲーム開発史上最も影響力のある2人の才能、マーベル・アディスとジョン・ロメロを表彰します」と、Informa Techのメディア＆エンターテインメント部門イベント制作ディレクター、ステファニー・ホーキンスは述べています。「GDCAは、キャリアが大きく異なる2人のアーティストを表彰することを誇りに思います。彼らはそれぞれ独自の分野で仕事をしていましたが、創造的な情熱と創意工夫を共有し、数十年にわたってゲームジャンル全体を定義することに貢献しました」
メイベル・アディスは、初の女性ゲームデザイナーとして知られていますが、その肩書きだけでは、彼女の先駆的な仕事の幅広さを伝えることはできません。『The Sumerian Game』(1964)のリードゲームデザイナーとして、彼女は数々の先進的なゲーム要素の実装を進めました。彼女が考案したイノベーションの中には、ゲームのアップデート、ゲーム内の物語体験、カットシーン（1964年当時は、同期した音声を伴う写真のスライドショーの形式）の繰り返しなどがあります。数十年が経過した今、それらは主流となっているものです。『The Sumerian Game』は現代のディスプレイ技術よりも早く、コンピュータのプリンターを使ってゲーム情報を伝えたり、プレイヤーに質問したりするゲーム内のナレーターやキャラクターを、セリフやプロンプトを用いて表現したりするものでした。
アディスは小学校の教師として働くかたわら『The Sumerian Game』を開発しました。アディスはバーナード大学で学んだ古代史からインスピレーションを得て、古代メソポタミアに関するゲームシナリオを作成し、現在エデュテインメントゲームと呼ばれているジャンルを作り上げることに貢献しました。このパイオニア賞は2004年8月13日に亡くなるまで、仕事を通じて革新性、創造性、教育への献身を維持したメイベル・アディスの遺族に贈られます。
ジョン・ロメロは『Wolfenstein 3D』、『DOOM』、『Quake』など、FPSというジャンルを創り上げた名作を含む、100以上のゲームを世に送り出してきました。この功績を称えて生涯功労賞が授与される予定です。初期のインディーズゲーム開発者であるロメロが、メインフレーム上で初めてゲーム開発を体験したのは1979年のことでした。その後、1982年にApple IIに移行し、完全に独学でプログラマー、ゲームデザイナー、アーティストとして活動してきました。ロメロは世界トップクラスのゲームデザイナーとして知られ、これまで100以上の業界賞を受賞し、PC、コンソール、モバイル、MODの各分野で、様々な開発経験を積んできました。ロメロはゲーム業界、特に先住民やラテン系の若者の多様性を提唱し、支援しています。ロメロはid Softwareや、2022年に設立7周年を迎えたRomero Gamesなど、10社のゲーム会社を共同設立しています。
パイオニア賞と生涯功労賞の受賞者は、インターナショナル・チョイス・アワード・ネットワーク（ICAN）とGDC編集委員会からの提案を受け、今年のGDCA特別賞審査員によって選ばれました。
Game Developers Choice Awardsは、3月22日（水）18:30pm(PT)からGDCで開催されます（GDC Twitchで同時中継）。GDCAは、インディペンデントゲームとそのクリエイターを称えるIndependent Games Festival Awardsの直後に開催されます。GDCAとIGFの両式典は、GDC 2023のパスをお持ちの方ならどなたでも視聴可能です。
GDCは今年2023年3月20日から24日にかけてサンフランシスコで開催され、現在登録受付中です。詳しくは、ぜひウェブサイトをご覧いただき、ソーシャルメディアで#GDC23のハッシュタグをフォローしてください。
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