東京電機大学 情報メディア学科 4年の福田翔悠です。
この度、IGDA日本様の東京ゲームショウ2022のスカラーシップ生として、ビジネスデイを含む全日程に参加させていただきました。
本イベントで得た学びや経験をレポートとしてまとめさせていただきます。
出展
私が出展した『PREDATOR AND WRECK 捕食者と崩壊』は、未確認生物が徘徊する宇宙ステーションからの脱出を目指すステルスSFホラーゲームです。
ゲームクリエイター甲子園2020にてユーザー大賞や企業賞を受賞したのち、Nintendo SwitchとSteamでリリースした作品です。
約3年間に渡る本作の開発では、チームリーダー兼ディレクターとしてチームの立ち上げから企画、開発進行、パブリッシャーとの交渉、テレビ取材、広報などを幅広く担当しました。
プログラマーとしては、敵キャラクターの実装やゲーム全体の最適化、NintendoSwitchへの移植などを担当しました。
現在は10月下旬のリリースを目標に、英語版を開発中です。
本作は、コミケやデジゲー博、Indie Games Connect、東京ゲームダンジョン、BitSummitといったイベントでの出展で得たフィードバックを元に、ブラッシュアップを行なってきたという背景があります。
そのため、今回は日本最大級のイベントということもあり、過去のイベントでお世話になった方々との再会が叶い、本作の完成を直接お伝えすることができたため、とても良い節目となりました。
これまで本作を応援してくださった皆様に、この場を借りて改めて御礼申し上げます。
本作には、シェルターや消火器の煙幕、警報機といった要素はありますが、無防備ゆえの恐怖を体験していただくため、あえて敵を倒す手段は実装していません。
試遊プレイでは、銃で反撃可能なホラーゲームが得意だ、という人が絶叫している姿も見ることができ、非常に手応えを感じました。
また、開発チーム内で対応するか悩んでいた箇所にピンポイントでご意見をくださった方もいて、10月下旬リリースを予定している英語版開発の参考になりました。
展示
私自身、東京ゲームショウへの参加自体が初めてということもあり、一ユーザーとしても試遊や展示などを楽しませていただきました。
企業ブースでは、Meta Quest2とPico Neo3 Linkを体験しました。私がVRゲームの経験が浅いことも影響しているとは思いますが、手元のボタン操作が多いゲームはあまり楽しむことができず、逆に身体を使った動作が多いゲームでは強い没入感を得ることができました。これは、動作を伴うことでVR空間内の身体が自分の一部である、という身体所有感が高まるからではないかと推測しています。
スカラー生の皆様の作品も魅力的で、山根空汰さんと舘駿介さんが開発した『ふり撃て!コーラガンナー』は、コーラを弾薬として敵を撃つVRシューティングゲームで、腕を伸ばして置いてあるコーラを掴む、コーラをシェイクする、銃に装填する、といった身体を使った動作が多く取り入れられており、VRの良さが生かされていると感じました。
また、企業ブースだけでなく、インディーゲームブースも多数の魅力的なゲームが展示されていました。
ペストリーパニックは、調理器具を模した専用コントローラーを抜き差ししてパンやミルフィーユなどを作るゲームです。
注文に従って、コントローラーを連打して生地をこねる! コントローラーを押し込んでオーブンへ! 次の注文に気を取られて、焦ってパンを焦がしてしまった! といった具合でまさにパニックになり、とても楽しかったです。
専用デバイスを用いたユニークなゲームを体験できるのも、リアルイベントの醍醐味の一つだと思います。
(東京ゲームダンジョンでは、ファミコンのカセットを叩いてゲームをバグらせて進む、斬新なアクションゲームが展示されていたことも記憶に新しいです)
iGiJapanブースでは、『34EVERLAST』と『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 –』を体験させていただきました。
『34EVERLAST』は最短10分でクリアができる、ハイスピードな超濃縮アクションゲームです。
本作にはチュートリアルがなく、長々と操作説明が入るのではなく、プレイをする中で自然に操作方法が身につくようになっておりコンセプト通り、スピード感が意識されていると感じました。序盤の巨大エアタービンに突撃するシーンは映画のような臨場感があり、特にお気に入りです!
ボスを倒すことはできなかったのですが、操作性の高さと演出が相まって、もう一度!と病みつきになる面白さがありました。
『蒐命のラスティル – とこしえの迷宮城 –』は、技・魔法・アイテムを駆使して迷宮を攻略する爽快アクションローグライクゲームです。
モンスターを捕まえて共闘することができるため、どデカいボスモンスターと共闘して、小さなモンスターをタコ殴りにすることもできます笑。
本作は、特に手触りがよく、攻撃を当てる気持ち良さがありました。開発者のよっしーさんに手触りの秘訣をお聞きした所、攻撃が当たった瞬間にキャラクターを一時停止させるヒットストップと、スロー再生させるヒットスローを取り入れており、この二つを使い分けているとのことです。
私は現在、大学の井ノ上先生の研究室で、感性工学の視点からアクションゲームを研究しているため、よっしーさんのお話が非常に勉強になりました。
東京ゲームショウを通して、普段何気なくプレイするゲームの細部に、様々な工夫が施されているということを再確認しました。
最後に
私は将来、大規模タイトルの開発ディレクターに挑戦して、世界中の人々に楽しんでいただけるような手触りにこだわったゲームを開発したいと考えています。
この度のTGS2022を通してゲーム業界の方々や同じスカラー生の方々と交流を深めることができました。
また、ユーザーの方々のフィードバックや展示作品から多くの学びを得ることができ、将来の夢へまた一歩近づくことができたと思います。
私を採択してくださったIGDA日本の皆様、スカラー生の皆様、メンターミーティングの石田様、会場でお話させていただいた皆様、誠にありがとうございます。
今回の経験を糧に、これからも精進してまいります。
東京電機大学 情報メディア学科 4年 福田 翔悠
出展作品
『PREDATOR AND WRECK 捕食者と崩壊』
英語版を10月下旬にリリース予定!