IGDA日本はGDCの公式メディアパートナーです。近年、日本でも注目を集めているインディゲームの世界的なイベント、Independent Game Festivalでアワードの司会をつとめるケリー・ウォリックのインタビューが公式ホームページに掲載されたのにあわせて、参考訳を掲載します。
今年のIGFから目が離せなくなること間違いなし。Game Developers Conferenceの主催者は、Independent Games Festival(IGF)のチェアとして長年活躍してきたケリー・ウォリックが、今年のIndependent Games Festival Awardsの司会を、サンフランシスコのGDC 2022で、ライブ(対面)で行うと発表しました!
ケリー・ウォリックは、10年以上にわたって技術およびビデオゲーム業界で働いてきました。彼女は、Indie MEGABOOTHの創設者で、Independent Games Festivalのチェア、そして1Up Fundのパートナーでもあります。また、GLAADメディアアワード諮問委員会の委員を務めています。彼女は、コミュニティの強さと影響力、そしてクリエイティブでユニーク、かつ多様な声をサポートするための長期的な変化の実行を熱烈に信じています。
ケリーは数年前からIGFのチェアを務めていますが、司会をつとめるのは今回が初めてです。これを記念してケリーにインタビューし、IGFを司会することへの興奮(と緊張!)、実際にイベントに戻ってくることに興奮する理由、そして今後数年間でインディーゲームをどのように見ていきたいかを語ってもらいました。
以下は、インタビューの編集・要約版です。
GDCスタッフ:今年のIGFアワードの司会、おめでとうございます。
ケリー・ウォリック:ありがとうございます。
GDCスタッフ:ありがとうございます。IGFには以前から参加されていますね。今回初めて司会としてスポットライトを浴びることになりましたが、どのようなお気持ちでしょうか?
ケリー:自分の中では、ずっとやりたいと思っていたことなんですが、少し緊張しています。大きな舞台で、大勢の観客がいる。そして、業界にとって本当に重要なことを、たったひとりで、しかも長い時間行うのは、少し怖い気がしました。でも、ずっと密かにやりたいと思っていたことなので、今回、自分のコンフォートゾーンの外に出て、一歩踏み出すことができて、本当にわくわくしています。
GDC:初めてのIGFアワードで印象に残っていることは何ですか?
ケリー:初めて参加したのは、私が会長になる数年前でした。圧倒されたとは言いませんが、予想以上に大きなイベントでした。その年はティム・シェーファーが司会をしていたと思うのですが、会場のかなり後ろのほうに座って見ていました。ゲームの祭典を見たり聞いたりするだけで、この祭典がいかに多くの人にとって重要か、ゲーム業界がいかに大きなものかを、この業界に入って間もない私にもよく理解でき、本当にわくわくしました。その記憶から、今こうしてステージに立ち、司会を務めていることは、とてもシュールなことだと思います。
GDCスタッフ:IGFでは2年ぶりにゲーム開発者コミュニティが一堂に会しますね。楽しみにしていることは何ですか?
ケリー:正直なところ、人に会うことです。2年ぶりに会うゲーム業界の友人たちに、どうしても会いたいんです。また、私はイベントの仕事が多いのですが、少なくともパンデミック以前はそうでしたので、大勢の人の中にいて、エネルギーや興奮を味わうということが、本当に恋しいのです。IGFアワードは、ゲーム業界の多くの人々が集まり、一緒に何かを祝うことができる最初の機会のひとつになるかもしれないと思うと、なんだか嬉しくなります。
面白くて楽しくて、ちょっと感動的なものになると思いますが、何よりも喜びを感じたいと思っています。
GDC:IGFのチェアパーソンとして、素晴らしい活躍をされていますね。最も誇れる功績は何でしょうか。
ケリー:ダサいですが、裏方のプロセスをシステム化したことが一番の自慢です。ゲームのQAや審査プロセス、審査員プロセスなどです。私は、バラバラのパーツからシステムや構造を作り上げるのがとても好きなんです。これは、あまり知られていないことですが、とても誇りに思っています。今となっては、よく動く機械のようなものです。
もうひとつ自慢できるのは、審査員として招聘する人たちを多様化し、さまざまな声を取り入れるよう努力したことです。
GDCスタッフ:チェア就任後、インディーゲームの分野で一番変わったことは何ですか?
ケリー:インディーゲームを開発するには、お金もリソースもない状態でやらなければならない、という考え方があったと思います。しかし、その一方で、そのようなことができる経済的な余裕がなかったり、家庭の事情や、仕事に対する報酬が必要な事柄があったりする多くの人たちを排除していたように思います。
インディーゲームのシーンで資金や機会が増えたことは、私にとってはいろいろな意味でポジティブな変化だと思います。もちろん、マイナス面もありますが、おおむね良い変化だと思います。
インディーゲーム業界が成熟し、成長し、「どうやってゲームを作るのか」「誰を雇ってゲームを作るのか」「どうやって流通させるのか」「業界における自分たちの位置はどこか」といったテーマについて、大きな議論が交わされるようになったことも素晴らしいことです。教育、知識、ビジネスセンスなど、より高いレベルのものを得ることができ、それは時間をかけて成長してきました。ですから、新しい人が入ってきたとき、5~6年前にはなかったような新しいサポートシステム、インフラ、メンター、成功するための機会がたくさんあります。
GDCスタッフ:今後数年間で、インディーゲーム業界はどのような状況になると思われますか?
ケリー:良い質問ですね。今はゲーム業界にとって非常に興味深い時期だと思います。私は「サウロンの目」が迫っていると例えることがあります。さまざまな業界の人たちが、私たちの仕事に光を当て、関わりたいと思ってくれています。インディーズコミュニティは、文化的、社会的に、私たちにとって何が重要か、どんな価値観を持っているか、クリエイティブなプロセスをどのように尊重しているか、その分野のリーダーであり続けたいと願っています。
資金調達の話に戻りますが、さまざまな立場の人がゲームを作ったりできる手段やリソースが増え、インディー・コミュニティがその努力を支援し続けることを心から願っています。
(インディー開発者にとっては)いい時代だと思います。コンテンツに対する意欲は旺盛です。サブスクリプションモデルなど、多くのコンテンツを手に入れることができるものがたくさんあります。インディー・コミュニティでは、AAAスタジオが追いつけないほどの勢いで、世界中からクレイジーで面白くてワイルドな作品が生み出されています。本当にクールな実験的なことをしたり、新しいことを試したり、新しいオーディエンスを獲得したりする機会がたくさんあると思います。このような軌道に乗り、DE&Iの問題、給料、報酬、仕事、価値観など、必要な会話を続けていければと思います。
Independent Games Festival Awardsは、3月23日(水)18:30pm(PT)(訳註: 日本時間3月24日木曜日午前10:30-)よりGDCにて開催されます(GDC Twitchにて同時放送あり)。IGFアワードは、ゲーム開発の全セクションにわたってその年のベストゲームを表彰するGame Developers Choice Awardsの直前に開催されます。GDC 2022のパスホルダーは、GDCAとIGFの両式典を視聴することができます。
GDCは、3月21日~25日にサンフランシスコで開催されます(参加登録は現在受付中)。GDC 2022の詳細については、バーチャルオプションも含め、ウェブサイトをご覧いただき、ソーシャルメディアで#GDC22のハッシュタグをフォローしてください。
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