CEDEC2021スカラーシップ体験レポート④ 秋月優衣

芝浦工業大学システム理工学部生命科学科4年の秋月優衣です。ゲーム制作ではアーティスト/デザイナーを担うことが多く、視覚表現全般に興味があります。

今回のCEDECが初参加だったので、参加することで得られたことについてまとめつつ、その良さとして考えたことを3つ書きます。

1つ目はゲーム制作における新たな知見や考えが得られることです。

1日目に行われた巨大キャラクターアニメーションのセッションでは、考え方やアプローチの仕方を中心にアニメーション制作の説明がなされました。その際、基礎となる3つの要素のうち演技ではなく物理・生物学的構造に焦点をあてて解説が進められました。私はアニメーション制作をする際、演技部分は重視していましたが、物理・生物学的構造はなんとなくで制作していたことに気づきました。このセッションでは実際に物理的な計算やグラフが示され、質量やエネルギー効率を考えることで効果的なアニメーション制作が可能となっていました。

2つ目は業界の情報が得られることです。

私は自分の問題点の1つとして業界に疎いことを自覚しています。学生であるとはいえ、「目新しいことではないですが」といって紹介される制作手法も初めて知るものであることがいくつかありました。技術の発展が激しい業界なので、自分から情報を取りに行かないと置いて行かれるだろうと気が引き締まりました。今回聴講したセッションの中では、特にUIラウンドテーブルで参考になる話がきけました。UI制作におけるプランナーやプログラマー、サウンドクリエイターとのやり取りに関して、制作フローやプロトタイプの提示など不透明だったことについて実際に働いているUIデザイナーの方々の話を聞くことができました。制作者間ですれ違ってしまう要因やそれについての対策法などがきけ、自分の考えを深めることができました。

3つ目は横断的に知識を得られることです。

自分の専門とは異なる分野のセッションも見ることができるため、普段あまり触れない分野についての知識も得ることができます。また直接そのセッションを見なくても、CEDECに参加した他の制作者から他分野の話をきくきっかけにもなります。ゲームは複数の表現形式が複雑に絡んで構成されるため、様々な表現に横断的に触れておくことは大切であると考えています。その機会のひとつとしてCEDECは非常に適していると感じました。また、普段あまり触れないようなゲーム制作から離れているように見えるセッションでも、ヒントを得たり分野を超えて比較することで新たな発見をしたりするようなことがあります。このように広く見聞することで新たな気づきを得ることができるのもCEDECの良さだと感じました。

以上がCEDECに参加してよかったことのまとめになりますが、今回スカラーシップで参加させていただき、セッション後に同じスカラー生と交流する機会があったので、それについても記述しておこうと思います。

私はゲームやその制作技術を専攻しているわけではなく、他の学生はどのような技術や考えを持っているのか、自分は彼らと比べて劣っているのではないかなどの不安がありました。実際交流したスカラー生らは自分にはない経験を持っており、それぞれが自分にはない良さを持っていると思いました。しかし、同様に自分も彼らとは違う良さを持っていることに気づきました。ゲーム制作に経歴も動機も関係なく、お互いの良さを活かして制作するものだということに気づくとともに、お互いの良さを最大限活かすためにはどう制作していけばいいのかも探っていきたいと思いました。

CEDECでは様々な経験を得ました。オンラインではありましたが、このカンファレンスに参加できたこと、ゲーム制作に真摯に向き合う方々を見ることができたこと、それを可能にしてくださった多くの方々に感謝し、制作者そしてプレイヤーとして、多くの人々に愛されているゲーム文化に今後も関わっていきたいです。