TGSスカラーシップ2019体験レポート⑨ 石田颯人

2019年度のTGSスカラーシップに参加した、芝浦工業大学大学院理工学研究科電気電子情報工学専攻修士1年の石田颯人です。私はビデオゲームにおけるインタラクティブなオーディオ表現に興味があり、チームでのゲーム開発において楽曲の制作及び実装やプロジェクトマネジメントを担当しています。

初日の会社訪問について

ゲーム業界において会社の規模によってどのような違いがあるかをしているのか、また当該規模で実際にどういう事業を行っているか知るなどを目的とした会社訪問が行われました。

1社目に訪問したあまた株式会社(AMATA K.K.)様ではデベロッパーとしての制作進行やゲームの知見を生かしたエンターテイメントへの展開の妥当性などを知ることができました。

2社目に訪問した株式会社ポケラボ様ではビジネスとしてゲームを制作する以上、未来を見据えて開発する必要性がある点とその難しさについて、会社の経験を基にした紹介があり、会社としてゲームを制作する事とそうでない事の違いについて感じることができました。

3社目に訪問した株式会社プラチナエッグ様では、ゲームにブロックチェーンを導入することによる変化について知ることができました。特に、技術によって新しい経済の形が提供されることで市場が拡大する可能性を感じられ、技術や経済及びそれらによる発展に関して視野が広がる機会となりました。

TGSでの展示について

TGS当日は、チームで制作したアドベンチャーゲームを展示しました。他のインディーブースでの出展者やアドベンチャーゲームの制作者、制作経験者がお越しくださり、展示したゲームについて詳細な部分から拡張の提案など様々な意見をいただけました。展示しているゲーム以外では、アドベンチャーゲームについて有用なツールや技術書といった制作に関わる知見や、コンペティションやフェスティバルといったイベントを共有し合える場にもなりました。展示したゲームのフィードバックとともに、関連する情報の収集及び提供や、ゲーム開発者との交流を同時に行える機会となり、展示の醍醐味を最大限に感じられました。特に, 開発したゲームについて, 興味を持って目の前でプレイしてくださり、感想や批判をいただけるのは非常にうれしい体験でした。今後、出展者として展示できる機会があれば積極的に参加したいです。また、そのようなイベントに一般参加者としても参加し、展示されているゲームをたくさんプレイしたいです。

ランチなどの交流について

TGS会期中はゲーム開発に携わっている方々とランチミーティングする機会やInternational Party + Indie Nightへの参加など、ゲーム開発者と交流する機会がいくつかありました。その中で、社会人の視座から学生に期待してることやオーディオプログラマの仕事に関する聴取ができ、様々な表現が実現できるように技術を備えておくことと表現に関する議論が行えるように言語化する能力を高めておくことの重要性を再認識できました。残りの学生生活で培っておくべき経験や能力も明らかになったため、ゲーム開発や学業のモチベーションにもつながりました。

スカラシップ参加者との交流について

他の参加者は、チーム開発を行っている学生でプログラマ、アーティスト、プランナー、ローカライザーなど領域や専門も様々でした。センスオブワンダーナイトが行われた日の帰り道では個人開発を行っている学生と今年のインディーゲームの傾向について議論しながら帰るという楽しい時間を過ごすことができ、うれしかったです。(プレイヤーにフレームワークを提供してその中でゲームを作成、拡張する体験とプレイヤーによって作成、拡張されたゲームをプレイする体験の両方を提供するゲームが多かったね、というような話をしました。)

TGS当日中では同じく展示を終えたスカラシップの学生とゲームの企画や制作進行について話す時間があり、お互い展示により触発された事を感じながら話しました。

メンターを含めて行われたスカラシッププログラム終了後の打ち上げでは、話の流れから「おもしろい」や「快適」について議論することになり、非常に有益な時間でした。私はゲームデザインについて考えるのが好きだったので楽しい時間でした。

おわりに

TGSスカラーシップの参加を通じて、TGSでの展示や社会人として開発している方々との交流、同じ立場でゲーム開発をしている学生たちとの意見交換など、非常に豊かな体験が得られました。特に、共にゲーム開発している学生たちと交流できる機会はとても励みになったので、現在は学生向けに小規模なゲームジャムやセッションといったイベントを開こうと考えております。

最後になりますが、IGDA日本の皆様、協賛企業の皆様、メンターの皆様、スカラシップメンバーの皆様、ありがとうございました。