NPO法人国際ゲーム開発者協会日本(IGDA日本)は「デジタルからくり装置作りワークショップ in 本郷 2」2019年2月16日(土)に東京大学情報学環オープンスタジオで開催しました。
本ワークショップはゲームエンジンのUnity上でドミノ倒しのようなコンテンツを作成するというものです。1回のワークショップは最大10名で実施され、個々の参加者が作成したステージを連結させて、1本の長いステージを作り上げることができます。ドミノが途中で止まってしまわないように、ステージの前後で連結性を考えて作る必要があるため、集団での協業が自然と促進される仕組みです。
また、それぞれの空間には別途「お絵かきワークショップ」で作成したキャラクターを自由に配置させられます。お絵かきワークショップはクレヨンで作成したキャラクターをPCのカメラでキャプチャすると、デジタルデータに変換されたキャラクターが仮想空間内で動き回るというものです。
キャプチャされたデータはクラウド上に保存され、他人が作成したキャラクターを自分のステージ上に配置させることもできます。ドミノ倒しの作成には論理的思考力、キャラクターの作成には芸術的な感性が求められるため、参加者は自分の特性に合わせた作品制作ができます。これによりスキルの異なる複数の参加者が集まって、一つの作品を作る意味が理解できます。
今回のワークショップは午前と午後の二回に分けて行われ、合計で19名が参加しました。2017年11月3日に開催されたものと同内容でしたが、前回の参加者が15名だったのに対して、今回は20名の定員に対して申込み数が約2倍に達した点が印象的でした(当日1名が体調不良で欠席)。これには平成32年度からプログラミング教育が全国の公立小学校で必修化されることが背景にあると考えられます。
前回のレポート記事で紹介したとおり、近年ではゲーム開発を題材としたプログラミングワークショップが全国で行われていますが、それらは「プログラミング偏重」「プロのツールではなく、教育用のツールが使用される」「参加者が個別に自分の作品を制作する」例が一般的です。
これに対して本ワークショップでは「本物のゲーム開発体験を届ける」ために、プロのゲーム開発者が、プロが使う道具で、集団で作品を作る体験の提供を目的としています。2016年7月に第1回目を実施し、これまで8回(今回が9回目)のワークショップを全国各地で行ってきました。その上で機材やツールの改善もあわせて進めてきました。
具体的には「子どもの手で操作しやすい小型マウスを使用する」「ゲームエンジン『Unity』の操作画面を改良し、より直感的に操作しやすいようにする」「コンテンツの開発と融合を『Unity』だけで完結させる(他に余計なツールを使わない)」「参加者の興味を惹きやすいようなコンテンツにする(爆発ブロックを用意する、ステージの色を変える)」などです。
午前中のワークショップは非常に盛りあがり、中には「一瞬でステージ上のブロックが爆発・消滅する」「巨大なボールをステージ上で転がし、ドミノを蹴散らす」などの作品も見られました。ただし、残念ながらドミノ倒しの連鎖が止まってしまい、完成には至りませんでした。これに対して午後のワークショップではカラフルな作品が多く、よりまとまっていました。
本ワークショップは公益財団法人中山隼雄科学技術文化財団の助成で開催されました。また、株式会社Project White(TSUKUMO)から機材協力を得ました。IGDA日本では今後も日本全国の会場で実施していく予定です。