東京工芸大学芸術学部ゲーム学科3年のと申します。出身はマカオです。この度、IGDAのCEDEC2018スカラーシップに参加させて頂きました。普段大学では中々学べないことを、この4日間を通じて貴重な体験ができました。本レポートではその内容についてお伝えさせて頂きます。
スタジオツアー
まず、一日目はゲーム会社の見学でした。ポリゴンマジック様、コロプラ様、サイバード様の3社を見学させて頂きました。各会社の簡単な紹介の後、エンジニア、デザイナーとの座談会で、最後は実際の開発現場を見させて頂きました。
一番印象に残ったのが、始めに訪れたポリゴンマジック様の「社会は下りエスカレーターを登る」の一言でした。技術は進化し続ける一方で、我々もそれを追いつかないとだんだん置いておかれます。しかし、努力して作ったコンテンツがお客さんの笑顔につながることは制作者にとっての最大のご褒美とも言えます。その言葉を聞いてとても感動しました。
コロプラ様では、エンジニアでありながらプランナーの池田さんと座談会を行いました。ゲームを製作する上で大事なことについてお聞きしました。プランナーの仕様書通りに作るのではなく、エンジニアとしてもゲームを面白くできるように、自分の意見もきちんと伝える必要性について学びました。「ゲームはチームワークが大事だ」について実感できました。
サイバード様では、1人のエンジニア・デザイナーと2~3人のスカラー生という形で座談会を行いました。私はエンジニア志望として、ゲーム会社でのエンジニアの仕事や自分が作った作品のフィードバックなどを伺いました。エンジニアとして就職できるように学生時代でやるべきことについても学びました。
CEDEC
2~4日目はCEDECに参加させて頂きました。私は「エンジニア、AI」を最優先にして見回しました。セッション以外では、VRやMRのインタラクティブセッションやプログラミングのワークショップに行きました。その中で印象に残ったのが、
- 「FINAL FANTASY XVの多言語対応・世界同時発売~日本語からの翻訳での課題と挑戦」
- 「SINoALICE-シノアリス-におけるUnity活用術」
- 「言語と身振りを通じた人と自然な会話ができるキャラクター人工知能の実現」
の3つのセッションです。
1つ目のFINAL FANTASY XVの多言語対応では、言語ごとにキャラクターのフェイシャルアニメーションとUIレイアウトに使われたテキストタグの手法について紹介されました。よりリアルに見せるために、セリフと口のアニメーションを合わせる技術と、文字表示の際に日本語と外国語の文法的に違う部分をタグとして渡すやり方が行われている点がわかり、参考になりました。
2つ目のシノアリスにおけるUnity活用術では、Unityで複数人が1つのシーンを同時に編集してもコンフリクトが起こらない方法について学びました。1画面を細かく分けて複数のシーンにすることで、モジュールごとに担当者が設置でき、各モジュールの影響範囲が減少するため、メンテナンスしやすくなります。関係性を密結合しないことによって、不具合が少なくなります。このセッションで学べたことを自身の開発に活用したいと思います。
3つ目の自然な会話ができるキャラクター人工知能では、AIの研究をされている大学の先生から、人間の会話における事例が紹介されました。会話に参加している人には同じバックストーリーが共有されているため、会話に対する返事ができることや、人が会話する時の視線など、普段人間が無意識でやっている部分について多く研究されており、自然なキャラクターを作成する上で必要な知識を得ることができました。
また、CEDECでは3日間メンター達とのランチミーティング、CEDEC1日目の部屋のみ、CEDEC2日目のDevelopers’ Nightに参加させて頂きました。製作上の疑問点からゲーム会社への就職まで、プロ達から貴重なアドバイスを聞くことができました。それだけではなく、プロのクリエイターが面白さを追求するために挑戦し続ける姿や情熱が感じられ、改めて尊敬しました。
終わりに
今回のCEDECで体験したことを通じて、自分自身を見直すことができました。セッションでは足りない知識を学び、スタジオツアーの座談会やCEDECのランチミーティングとDevelopers’ Nightではクリエイターとしてゲーム業界に就職できるための決意や覚悟を決めることができました。このスカラーシップで得た経験を活かして、今後の制作に向かって頑張ります。このような貴重な機会を頂き本当にありがとうございました。