人と人とのつながりが、どんどん広がる場所--CEDEC&TGSスカラー座談会

新卒・フリーランス・起業と広がる就業形態

--ちなみに酒井君も新卒でグリー入社じゃないんですよね。

正慶:そうなんですか?

酒井:モバイルゲーム系の会社に内定をいただいたんですが、自分のスキルをためしたくて、フリーランスのエンジニアになりました。紙に塗り絵を描いて、スマホをかざすと3DCGになるといった広告案件のアプリを受託開発して、そこそこ好調だったんです。ただ、個人事業主だと自分の名前を出すのが難しかったんですよ。それがだんだん不満になってきて。

--それでグリーに?

酒井:グリーはガラケーのソーシャルゲームが主流の中、比較的早くからUnityで開発を行っていました。自分もUnityでネイティブアプリをがりがりと作りたかったんです。また、業務で作られたオープンソースを積極的に公開されていたりと、技術力に対する憧れもありました。おかげさまで、今も楽しく仕事をさせてもらっています。

中村:僕の場合は学生時代からVRゲームを作りたかったんです。もともとノベルゲームなどが好きで、ストーリー性の強いVRゲームを作ってみたくて。また、どうせゲームを作るならもっと、自分が主体となって理想のゲームを作りたいという思いがありました。それで『エニグマスフィア』の開発が一段落したときに、独立を選んだんです。

酒井:話を伺っていて、自分と反対のところもあり、似ているところもあり、すごく興味深いですね。

正慶敦氏

--正慶君と津川さんはどうですか?

正慶:自分はまだ入社2年目なのに、そんなに社会人経験を積まれていて、正直すごいなあと思いますね。ただ、働き方はそれぞれだし、今は純粋に仕事が楽しいので、満足しています。個人的に「ゲームだけでなく、ゲームを遊ぶ場も作ってみたい」という思いがあったんです。それで筐体から設計できる、業務用のゲーム開発を志望しました。

--入社してどうですか?

正慶:実は入社するまでは、「大手だし、歯車みたいな感じで働くのかな」と不安だったところもあるんですよ。それが結構いろんな挑戦をさせてくれて、びっくりしています。特に店舗研修が充実していて驚きました。1ヶ月半ほど職種に関係なく、ロケーションの店員として働いたんです。自分たちが作っている製品がどんな風に遊ばれるのか、実際にお店で観察しろということなんですよ。実際に最近は店舗やイベントなどに行くと、ゲームだけでなく遊んでいる人も観察するようになりました。

--元セガの方が書かれた推理小説『オールド・ゲーム』(角川書店)でも、架空のゲーム会社の工場研修のくだりが出てきますね。

正慶:書名を耳にした程度なので、ぜひ読んでみますね。

津川:さっきもいいましたが、学生時代から大手でインターンをしていたんです。サイバーエージェントさんとか、ポリゴン・ピクチュアズさんとか……。外注対応だけで専門のチームがあったりと、驚きの毎日でした。そんな中でTGSスカラーシップで、インディーズコーナーやセンスオブワンダーナイトの作品群に触れたことが、すごく刺激的だったんです。それまでは大手志向だったんですが、もしかしたら私って、中小企業で何でもやるほうが向いているかもしれないって。

中村:自分もよむネコでは、ありとあらゆる仕事をしていましたよ。サウンド周りの発注も自分が担当者で、神山さんとがっつりやりましたし。『エグニマスフィア』をTGSインディコーナーに出展した時も、4日間フルでブースに立っていました。