GDC2017日本語情報の特設ページです。2月27日(月)~2月28日(火)のGDC1日目~2日目に開催されるチュートリアルデイの目玉セッションと、クラッシックポストモーテムの参考訳情報を掲載しています。【VRDC情報はこちら】【サミット情報はこちら】【メインカンファレンス情報はこちら】【クラッシック/チュートリアル他はこちら】
クラッシックゲームの考察:シーマン
斎藤由多加 | Designer, Independent
ゲーム開発に対して得意なアプローチを取ることで知られる才能豊かなゲームデザイナーのYutaka “Yoot” Saito(斎藤由多加)が、GDC2017でDreamcastの傑出したゲーム「シーマン」で、Classic Game Postmortemを行います。斎藤のゲーム開発のキャリアは、90年代初めにMaxisが「Sim Tower」として発売したゲームを制作したときに始まりました。彼自身のスタジオビバリウムを立ち上げた後でもありました。ビバリウムの旗の下で、斎藤は、革新的なバーチャルペットゲーム「シーマン」(彼の自身顔をシーマンに使っていました)、そのすごい続編の「シーマン2」、ピンボール戦略ゲーム「大玉」、空港荷物管理パズルゲーム「エアロポーター」を開発してきました。今回、GDC2017に来てゲーム業界とポップカルチャーの両方の分野に忘れられない印を残した「シーマン」を作った彼のゲームついて語ります。お見逃しなく!
クラシックゲームの考察:Oregon Trail
Don Rawitsch | Rawitsch Consultingコンサルタント
「Oregon Trail」とはメインフレームベースのゲームで、ミネソタ州の3人の教師によって開発されました。歴史のシミュレーション、ストーリー性、開発当時としてはユニークなゲームモデルという要素を持っていたことから同タイトルは学校のクラスで人気となりました。その後、PC向けに再構築されてからリメイクを施され、その人気はミネソタ州のみならず国境を越えてグローバルなものへと拡大していきました。本セッションでは開発者のドン・ラウィッチ氏を招き、開発秘話やシミュレーションモデル、20年以上もの間愛され続けた秘密、そして他の教育ソフトに与えた影響についてお話しいただきます。2016年、「Oregon Trail」はニューヨーク州のロチェスターで「Strong National Museum of Play」の「World Video Game Hall of Fame」に、教育ゲームとしては初の殿堂入りを果たしました。
クラシックゲームの考察:Civilization
Sid Meier | Co-founder & Director of Creative Development, Firaxis Games
Bruce Shelley | Independent, Independent
「Railroad Tycoon」から「Age of Empires」までのすべての仕事を通して、ビデオおよびボードゲームの開発の歴史を形作ったゲーム業界の著名人であるSid MeierとBruce Shelleyが、画期的なゲームであった「Sid Meier’s Civilization」のClassic Game PostmortemをGDC2017で発表します。この二人は、MicroProseで、多くの注目すべきプロジェクトを緊密に協力してきました。ボードゲームのデザインを持つShelleyのバックグラウンドとMeierのシムゲーム開発の歴史は、完全に融合し、おそらく最も長く、世界で遊ばれている戦略ゲームのフランチャイズです。今、MeierとShelleyは、GDC2017で、「Civilization」をデザインし、開発したポストモーテムを熱心に話すでしょう。ゲームとその続編は、ゲーム開発者の一世代に影響を与えてきました。それがどのように始まったのか聞いてみてください。
2月27日(月)~2月28日(火)
Game Design Workshop(ゲームデザインワークショップ)
2月27日(月)
Advanced Graphics Techniques Tutorial Day(アドバンスドグラフィックステクニックチュートリアルデイ)
Animation Bootcamp(アニメーションブートキャンプ)
ゲームのアニメーションは近年重要になっており、アニメーターはアート、デザイン、技術力を詰め込むことを余儀なくされています。アニメーションブートキャンプでは全世界の開発者の知見の最前線です。AAAからインディー業界までの経験に裏打ちされた高い技術をもつアニメーションのプロを集めたこのブートキャンプでは、キャラクターの動きやプレイヤーとのコミュニケーションに必要な技術について深い議論を行う予定です。
最初は伝統的なアニメーションプロセスについての話で始まりますが、その知識をどのようにゲーム開発に活かすかの話もしていきます。多様なツールや手法についての話を通じて、いかにゲーム独特の制約や需要が新しいタイプのアニメーターを誕生させているかについて焦点をあてていきます。
Art Direction Bootcamp(アートディレクションブートキャンプ)
アートディレクションブートキャンプはGDCブートキャンプのメインイベントのひとつであり、前日にわたって行われ、アートディレクションおよびアート関連の話題に特化しています。業界のアートを引っ張るトップ達の経験と最先端の問題提起を共有しましょう。アートにとって本当に大事なことや、どのような視点を持つべきか、またどんな仲間を作ったらよいかを学びましょう。
業界のトップ達によるアートに特化した情報が山盛りで、新人や学生のみならず歴戦のプロが日々の問題解決をするにも有益でしょう。ゲームアートに興味がある方なら誰でも歓迎します。
Math for Game Programmers(ゲームプログラマーのための数学)
ゲーマーとゲームプラットフォームが進化・多様化しているなかで、ゲームプログラマーが直面する問題も複雑化の一途をたどっています。最新のグラフィック、ゲームプレイ、アニメーション、物理演算、AIをプログラムするためには数学知識が必須です。
このチュートリアルでは伝統的な「プログラマー向けの数学」を最高の先生の指導の下で集中して学ぶことができ、ユニークで洗練されたグラフィック、インタラクティブな物理演算、そして絶妙に面白いゲームプレイの作り方を教えてもらえます。
プログラマーにとって大事なゲーム開発における問題に焦点を当て、プログラミング環境と全般的なガイダンスも行います。今年のトピックは、乱数生成と乱数制御、レーティングシステム、ニューラルネットワーク、弾道計算、Nウェイ-クォータニオン補完、高速な凸面剛体構築、メッシュ切断と変形、プロシージャル連動テクスチャ生成などです。
Storytelling Fundamentals in a Day(ストーリーテリングの基礎知識の一日)
物語作りの基礎をテーマとするこのダイナミックで迫力あるプレゼンテーションは、ゲームの物語作りを改善したいと思っている全ての人に向けて計画されています。マーベルやルーカスアーツで活躍しているエバン・スコルニク氏によって行われるこのチュートリアルでは、物語の構造、生きたキャラクター作り、話作りのキモなどについて取り上げます。
開発チームのほぼ全員が究極的にはゲームの物語作りに参加しているといえます。ですから程度の差はあっても全員がストーリーテラーなのです。しかしチームメンバー全員が話し合いのための共通理解をもたなければ、物語がぼやけてしまうことは避けられません。このセッションは共通のフレームワークをを構築し、チーム全員がゲームの物語を同じ方向へ持ってゆくための手法を紹介します。
これまでの参加者(ライター、デザイナー、アーティスト、アニメーター、エンジニア、プロデューサーなど)はこのチュートリアルのことを「すばらしいものだ」と評価しており、「中級以上になるために必須の知識だ」と考えています。
Advanced Agile Game Development Practices(高度なアジャイルゲーム開発の実践)
アジャイル開発はもはや実験的な手法ではなくメインストリームになっています。しかし多くの場合、まだまだそれには苦労が伴います。このワークショップではすばやい開発を行ってきたスタジオの過去10年間の成功体験を共有することができます。
2月28日(火)
困難を乗り越えて品質を上げ、ゲーム向けサウンド作りに関した主要テーマについて新たな境地に達しよう。業界の達人達による講演では、音楽制作、サウンドデザイン、デジタル信号処理、オーディオミックス、キャリア形成、大小規模スタジオにおける仕事配分方などにおける彼ら自身の経験や実践的なスキルについておはなしします。
この講演ではいくつものゲームで経験を積んでいて他の分野の知識を増やそうと考えている方のみならず、スピーカーからどうやって音を鳴らすかを知りたい新人までを対象としています。また、ランチタイムにはスピーカーの方々と肩をつき合わせて話をする機会を設ける予定です。こインタラクティブなオーディオ環境についてこの機会に話をしてみてはいかがでしょうか。
エキスパートと大学生はプロダクションとチームマネジメントのベストプラクティスを終日のセッションで議論します。
Technical Artist Bootcamp(テクニカルアーティストブートキャンプ)
テクニカルアートの分野は急速に進化しつつあります。テクニカルアーティスト(TA)は多くのスタジオで効率的なツールパイプラインを開発したり、視覚的に印象深くパフォーマンスも最適化されたアートコンテンツを生み出したりする重要な役割を担っています。TAはコンテンツとエンジニアリングの間の架け橋となり、双方をさらなる成功へと導きます。しかしTAの役割をまだうまく導入できていないスタジオも多く存在します。状況を改善しようと意気込む有能なTAがチーム内にいるものの、TA自身がその価値をどのように示し、開発の鍵となる役割を得ていくべきかを見極めきれていません。本ブートキャンプでは業界各方面から経験豊かで人望のあるテクニカルアーティストが集まり、TAとしてもっと活躍できる方法を1日かけて学ぶ場を提供します。各登壇者はTAが自らの価値を示し、テクニカルアートをスタジオのパイプラインやカルチャーにさらに統合していくために活用できるツールやスキルに焦点を当てていきます。スタジオで起きている開発上の難題を特定し、TAならではの方法で解決してみせましょう!
VISUAL EFFECTS ARTISTS BOOTCAMP(ビジュアルエフェクトアーティストブートキャンプ)
近年、ビジュアルエフェクトの仕事はゲーム開発における重要な推進力のひとつとして台頭してきました。現在は作品に最後の磨きをかけ、ゲーム体験に一貫性をもたせ、リアルタイムでレンダリングされたゲーム世界に命を吹き込むのはビジュアルエフェクトアーティストの役割になっています。当初はフリップブック(パラパラアニメーション)やスプライトの加算的ブレンディングといった、比較的単純でしばしば苦労を伴う仕事道具に始まったこの仕事も、今や、シェーダー、照明、パーティクル、素材、モデル、アニメーションをはじめとする多数の要素を繊細かつ精緻に組み合わせる独自の専門職に発展してきています。
しかし、この職種が成熟するにつれ、共有情報、文献、チュートリアル、各種リソース、および、新人のVFXアーティストそのものの不足が看過しがたい状況となってきました。
共有知見の不足を打破する第一歩として、業界各方面から集まったベテランのVFXアーティストたちがこの誕生間もない専門職に関するあらゆる話題を話し合う場を設けます。本ブートキャンプの目標および見込まれる主な効果は、このコミュニティを育てるのに必要な施策を開始し、VFXアーティストが日々の業務の生産性、および、お互いとの交流によるプラス効果を最大限に高めることです。
次世代のリアルタイム体がその本領を発揮する一助となるためにも、本ブートキャンプへの参加を強く推奨します。
BOARD GAME DESIGN DAY(ボードゲームデザインデイ)
ボードゲームデザインブートキャンプでは一日かけて非電源系ボードゲーム(およびカードゲーム)のゲームデザインの芸術面および技術面を掘り下げます。ボードゲームの有名デザイナーが複数登壇予定で、革新的なものや人気作品など、ボードゲームのデザインメカニクスについて詳しく知り、近年再興しつつあるボードゲーム開発の世界で傑作を生み出したデザインの信条について聞く好機となるはずです。
ボードゲームデザインデイ:「Secret Hitler」-ファシスト主義を主張するためのコツとヒント
Mike Boxleiter (Wolf & Cabbage LLC)
カードゲーム「Secret Hitler」は Kickstarter での資金調達で35000人近い出資者を集め、大成功を収めています。同作は hidden role(ヒドゥンロール、隠れた役割)/social deduction(ソーシャルデダクション、社交による推察)型のゲームであり、プレイヤーは1930年台のワイマール共和国の国会議員の役割を演じることになります。ドイツ政府の仕組みは非常に抽象的に表現され、プレイヤーは誰もが身内に「ファシスト」らが紛れ込んでいることを知らされているものの、「リベラル」派のプレイヤーは他のプレイヤーの真意がどこにあるのかを知らないため、緊張感と疑心暗鬼が生まれる構図となっています。本作の共同デザイナーである Mike Boxleiter によるこのポストモーテムセッションでは初期のデザインプロセス、イテレーション段階で克服できた難所や行き止まり、そして最終段階における Kickstarter でのマーケティング攻勢などを話題にします。
得られるもの
「Secret Hitler」チームがどのようにして、イテレーション段階でプレイヤーがしばしば対立状態になるように仕向け、ゲーム中で緊張感の強い場面を作り出すように工夫したのか、および、そのことがどのように口コミでのバイラル効果に繋がったのか(、そして、チームが本作について聞き手の興味をひき、印象に残る紹介の仕方ができるようになった顛末)に関する理解。
想定受講者
プレイヤー間のやりとりと会話を中核とするボードゲームの制作に興味があれば本セッションで話題にする成功要因や反省事項から学ぶものがあるでしょう。
ボードゲームデザインデイ:「Burgle Bros」ができるまで-銀行強盗というファンタジー
Tim Fowers (Fowers Games)
本セッションでは強盗をテーマにした協力型ボードゲーム人気作「Burgle Bros」の作者である Tim Fowers が同作について掘り下げます。本作は強盗というファンタジー、すなわち計画、連携、そして不測の事態への即応を味わえるように作られています。セッションでは作者がいかにして本作のような協力型ゲームにて、逆境が発生し、対立のドラマが展開するようなシステムを生み出したのか、そしてローグライクな要素を盛り込むことで突発的に物語が展開するように工夫したのかを解説します。ボードゲームデザインデイのセッションとしてとりわけ関連深い点として、本作が当初はデジタルゲームとして誕生したものの、デジタルとアナログを組み合わせた一連の実験の末、ボードゲームに進化していった過程も紹介します。
得られるもの
参加者は協力型ゲームのゲームデザイン、プレイヤーが乗り越えるべき摩擦を発生させるようなシステム設計について、映画や架空の物語をその骨組みにまで絞り込む方法、その体験を再現するような仕組みの構築、そしてボードゲームのプレイテストおよび自費出版に関するベストプラクティスなどを学べるでしょう。
想定受講者
ゲームにアナログ要素を使おうと考えているか、自分でボードゲームのデザインをしようと考えているゲームデザイナー。
ボードゲームデザインデイ:ボードゲームのゲームデザインと損失回避の心理学
Geoffrey Engelstein (Mind Bullet Games)
損失回避は人間の心理の根幹を成す現象です。簡単に言えば、損失によって人が気分を害する度合いは、利益によっていい気分になる度合いよりも大きいのです。言い換えると100ドルを失ったことによる負の感情は100ドルを手に入れたことの正の感情よりも強く、その度合いは様々な実験によると後者が2倍ほどになるようです。損失回避は人間の心理に深く根付いたもので、様々な現象に関連していますが、その現象の多くはゲームデザインに直接関係しています。ベテランのテーブルトップゲームデザイナーである Geoff Engelstein(「Space Cadets」の作者)による本セッションはボードゲームおよび他のゲーム的体験を分析し、フレーミング、後悔、コンピテンスその他の効果について、ゲーム体験とプレイヤーとの関係にどのように絡んでくるかを検討します。
得られるもの
参加者はボードゲームおよびそれ以外のゲームからゲームデザインに応用できる具体的なテクニックを学べるでしょう。ゲームデザイナーであれば、損失回避をより深く理解することでゲーム内での状況に対するプレイヤーの体験と感情的な反応を制御するという、テーブルトップゲームではとりわけ難解な課題を克服する手法を知ることができるでしょう。
想定受講者
プレイヤーの心理をより深く理解したいと考えているゲームデザイナー向けの内容です。ゲームデザインの経験は問いませんが、ゲームデザインプロセスを経験済みであれば自身の仕事との関連性をより深く見出せるでしょう。
「Puzzle Strike」は「Dominion」と同系統と言えるデッキビルディング型のテーブルトップゲームです、デジタルゲーム「Puzzle Fighter」で見られる風変わりなカムバックシステムが根幹となっている点が特徴です。本セッションでは「Puzzle Strike」を生み出したゲームデザインプロセスを解説し、デザインの目標や、それらをどのようにして達成しようとしたのかなどを話題にします。「Puzzle Strike」ではプレイヤーの死に体化の解決、試合開始前のプレイヤー同士による共謀対策、システム的に盛り上がる場面を盛り込むなどの問題点解決に取り組んでいます。本作は各システムが重複していて入り組んでいるため、非対称型ゲームであることを差し引いてもバランス調整がとりわけ困難でした。コアシステムに必要ないくつかの変更を見極めるのに何年もかかりましたが、本セッションではたったの30分で学んでいただけます。
得られるもの
複雑なゲームシステムのデザインを真の意味で整理するには何年にも渡る試行錯誤が必要になりうることと、一人の開発者がたどったそのような経緯の一例をご紹介します。
想定受講者
システムデザインにとりわけ興味のあるゲームデザイナー。本作はテーブルトップゲームですが、システムデザインの課題はデジタルゲームのゲームデザイナーさんにもお馴染みのものです。
その他、IGDA日本のお勧めセッションです。
フランチャイズキャラクターを生みだすには
Bob Bates | Creative Director, Independent
歴代トップ10の映画フランチャイズのすべて、および歴代トップ10のゲームフランチャイズのうち7つがキャラクターを主軸としたものになっています。本セッションではこれらのフランチャイズのキャラクターの共通点に焦点を当てます。ハリー・ポッター、ジェームズ・ボンド、ルーク・スカイウォーカー、フロド・バギンズ、トニー・スターク、ブルース・ウェイン、ピーター・パーカー、ドミニク・トレット(訳注:映画「ワイルド・スピード」シリーズ)がいずれも孤児なのは偶然でしょうか? これらのキャラクターのさらなる共通点を分析しつつ、シナリオライターが印象的なキャラクターを生みだす一助となれば幸いです。
得られるもの
印象的なキャラクターを生みだす確実ないしテンプレート的な方法はないものの、参加者は新しいキャラクターをゼロから作り上げる際に検討すべき要素をカテゴリ単位で具体的に学べるでしょう。
「Uncharted 4: A Thief’s End」の物理アニメーション
Michal Mach | Technical Animator, Naughty Dog, Inc.
「Uncharted 4」では Naughty Dog社はひとつのリスキーな判断をし、ゲームプレイアニメーションの上に実験的に物理シミュレーションのレイヤーを加えることでその流動性や勢いを強化しました。これは物理演算に見映えを担わせることでアセット制作の必要性を減らし、制作時間を節約できればと考えてのことでした。
物理演算のトリッキーな性質、および、物理的にまったくもってリアルではないゲームプレイアニメーションゆえに、初期の成果はかなりひどいものでした。プレイヤーは結局のところ、リアルさよりも反応のよさを求めるものです。ところがある日、チームの物理プログラマーがより推測しやすい形で物理オブジェクトをアニメーションで動かす方法をみつけ、これにより歪みを最小限に抑え、演出もほぼ自由自在に行なえるようになったのでした。
得られるもの
参加者は物理オブジェクトをアニメーションで動かす Naughty Dog の新しい手法について学べるでしょう。多数の事例を紹介し、個々の構成、遭遇した問題、その問題に対する解決法を詳細に解説します。
想定受講者
技術的色合いの強いセッションですので、ゲーム内の物理シミュレーション、アニメーションブレンディングおよびレイヤリングに関する基礎知識があるといいでしょう。ただし視覚的な事例も多数ご紹介しますので、アニメーション全般に興味のある参加者の刺激にもなるかもしれません。
「Horizon: Zero Dawn」の広大な世界におけるプレイヤー移動の仕組み
Paul Van Grinsven | Game Programmer, Guerrilla
本セッションでは複雑で有機的な環境である「Horizon: Zero Dawn」の広大な世界で主人公であるアーロイをどのようにして移動させているのかを紹介します。ゲームプレイプログラマーの視点で様々な移動の仕組みを説明し、コードとアニメーションの関係性に焦点を当てます。これらの仕組みの実装に際した様々なシステムやテクニックを解説し、その背景となった理論や取捨選択にも言及します。
得られるもの
ゲーム世界内に多種多様な環境を含む3人称視点のオープンワールド型AAAゲームにて、身軽で反応のいいキャラクターを臨場感のある形で操作できるようにするために開発されたテクニックを紹介します。
想定受講者
本セッションは中級クラスのゲームプレイプログラマーとアニメーションプログラマー、およびゲームプレイアニメーターの受講を想定しています。
「ストリートファイターV」のアートディレクション:格闘ゲームにおけるアートの役割
Toshiyuki Kamei | Art Director, Capcom Co., Ltd.
カプコンは30年間格闘ゲームを作り続けています。その30年間の経験がゲーム制作というアートに影響を及ぼし、また同時に、アートがゲームの構造に影響を及ぼしてきました。当社には社内の資料やメンタ―役からしか学びえないゲーム制作の歴史そしてテクニックがあります。歴史は格闘ゲームの視覚的な魅力を高めると同時に分かりやすくするのに重要です。テクニックはカプコンの格闘ゲームが長年高品質を維持してきた鍵と言えるでしょう。本セッションではカプコンの格闘ゲーム開発におけるアート制作のテクニックを紹介し、アートがゲームの総合的な構造において果たしてきた役割について話題にします。
得られるもの
参加者は格闘ゲーム制作のテクニック(ノウハウ)を、アートとゲームの構造との関係性という文脈で知ることができるでしょう。
想定受講者
本セッションは格闘ゲームの開発に従事する方々の受講を想定しています。ゲームを改良するヒント、および、格闘ゲームの定番とも言える構造をより洗練するためのテクニックを共有します。格闘ゲームに興味のあるゲームデザイナーの方もぜひお越しください。
EAの次世代型の複数キャラクター間インタラクションシステム「N-Man」
Henry Allen | Senior Software Engineer, Electronic Arts
EAが複数キャラクター間の複雑なインタラクションを制作するのに使用している多機能なツール群を詳細にご紹介します。インタラクションシステム「N-Man」の使用によりコンテンツ制作担当は再生、アライメントその他様々な条件設定を詳細に制御できるため、複数のキャラクターが登場する場面に説得力をもたせる一助となっています。本セッションではEAの「Madden NFL」でギャングタックルを一から構築するのに使用したワークフローを解説します。コンテンツ制作担当のワークフローと重要機能に焦点を当て、技術的な詳細やデバッグツールにも触れます。
得られるもの
本セッションの目的はEAの複数キャラクター間インタラクションの制作テクニックの一部を共有することで、開発者の方々の間で同分野における対話とさらなる革新を奨励することです。
「Horizon: Zero Dawn」におけるGPUベースのランタイムプロシージャル配置システム
Jaap Van Muijden | Senior Programmer, Guerrilla Games
「Horizon: Zero Dawn」でプレイヤーの周囲にゲーム内世界をダイナミックに生成するGPUベースのプロシージャル配置システムについてGuerilla Games の Jaap van Muijden が解説します。プロシージャル配置システムはプレイヤーが通るのに合わせ、岩や木々に限らず、サウンド、エフェクト、野生動物やゲームプレイ要素を含めたフルディテールの環境を構築します。本セッションではアーティストがプロシージャル配置のルールを設定するのに使うグラフエディターから、プレイヤーの周囲に臨機応変に濃密な世界を生みだしていくGPUアルゴリズムまで、パイプライン全体をご紹介します。このプロシージャルアプローチの威力の一例として、森林の境界を描き入れたり道路の経路を変更したりするのも、山々を移動させたり砂漠を熱帯湿地に変更したりするのも、同じくらい簡単に実行できることをお見せします。
得られるもの
Guerilla Games が新たに生み出したGPUベースのランタイムプロシージャル技術をご紹介します。当社のチームがどのようにしてコンピュートシェーダーでプレイヤーの周囲に世界をダイナミックに生み出しているのかを学べます。アーティストがどのように多様な環境を設定したり編集したりしているのか、および、このプロシージャルなワークフローを採用することで、アーティストおよびゲームデザイナーの両方が、全体に対して、もしくは独立事例について、コンテンツのイテレーションを行なえるようになっている仕組みを解説します。
想定受講者
AAAレベルのクオリティで大規模なオープンワールドゲームを制作している開発者向けの内容です。プロシージャルシステムの想定エンドユーザーであるテクニカルアーティストやゲームデザイナー、および、同様のスケールや制約でのゲームエンジンやアートパイプラインの構築に興味のあるエンジニア向けです。