IGDA日本SIG-ARGでは7月3日に読書会「『のめりこませる技術 ─誰が物語を操るのか』を読む 第1夜」を開催しました。当日はSIGメンバーやARG制作者・愛好家など8名が参加。SIG正世話人でIGDA日本の監事もつとめる竹内ゆうすけ氏(ラ・シタデール)の司会のもと、熱心な議論が続きました。
終了後、読書会の模様について竹内氏にインタビューを実施しました。
--おつかれさまでした。当日は何名くらい参加されましたか? また主な参加者属性はどういった感じでしたか?
1名欠席が出てしまったため、最終的に8名の方に参加していただきました。参加者の多くはSIG-ARGのメンバーと、ARGについて興味関心を持つ関係者でした。遠方から来てくれた方もいました。その他、課題図書『のめり込ませる技術』を読んで面白いと感じていた方が、告知を見て参加してくれたのがうれしかったです。
--読書会を企画された理由や背景などについて、あらためて教えてください。
ここ数年、SIG-ARGのオフラインでの活動は謎解き分科会(現SIG-NAZO)が中心でした。狭義のARGを取り扱ったオフライン活動をしたけれども、過去に実施していたような事例紹介型のセミナーは開催も大変です。そこで手軽に継続開催ができて役にも立つ企画を模索した結果、読書会を行うことにしました。
--読書会に利用された書籍「のめりこませる技術」の選定理由は何でしたか? また類書にはどういったものがありますか?
選定した理由は、北米で発祥したARGの成立経緯について日本語で読むことができる現在ほぼ唯一の書籍だったためです。またARG制作において重要なポイントについてもまとめられており、マーケティングやプロモーションの分野で仕事をしている方にも強くお薦めできる良書でもあります。類書としては少しゲーミフィケーション寄りですが『幸せな未来は「ゲーム」が創る』(ジェイン・マクゴニガル著)などがあります。
--読書会はどのように進行しましたか?
参加者全員が課題図書を一読している前提で進めました。
最初にIGDA日本SIG-ARGの活動紹介をした後、各自が簡単な自己紹介を行いました。
その後、コーディネーターをつとめた自分がレジュメで抜粋した箇所を中心に、各自が「気になった箇所」「よく分からなかった箇所」触れていくスタイルで進行していました。今回は第1章の冒頭で引用された映画『ダークナイト』のプロモーションとして実施された大規模ARG『Why so Serious?』の内容や経緯について、書籍だけでは言葉の足りなかった部分を「ARG情報局」のまとめ記事などを引用しながら見て行く時間が結果的に長くなりました。
--今回の読書会では、書籍の第何章が対象になりましたか?
第1章が中心になりました。ARGの歴史を紐解いた重要な章だったので、語るべき内容がとても多かったです。
--もともと読書会の目的をどのように設定されていたのでしょうか?
ARG制作の実践訓練というわけではなく、読書会を契機に『のめり込ませる技術』という優れた書籍をあらためて精読して多くの有益な情報やノウハウを再発見することに重きを置きました。読書会後には懇親会も行い参加者同士の交流も重要な目的と考えていました。
--先の目的はどの程度、達成されましたか?
ある程度、達成できました。書籍に書かれたWebサイトや動画などを読書会中に探して実際に観てみることなどもできたのは貴重な体験でした。ただ多くの時間を割いた『Why so Serious?』についての知識が参加者間でもムラがあり、既に良くご存じの方にとっては物足りなさが残ったかもしれません。
--交流会の雰囲気はいかがでしたか?
和やかに直近の事例などについても情報交換がされ、刺激を受けました。
--今回実施したことで課題点や改善点などはありましたか?
予定では第4章あたりまで読み進める予定でしたが、実際には第1章までしか進むことができませんでした。章ごとに時間の目安を決めるなど、メリハリを付けられる工夫があるとよいなと感じています。
また読書会にはつきものですが、どうしても発言者が偏るため発言機会の少ない参加者にも話してもらえるような仕組みがあるとよいなとも思いました。
--参加者からはどのようなフィードバックがありましたか?
今回、開始時間が日曜19時と遅く遠方から来た方や翌日朝早い方は懇親会の最後までいられなかったのが残念でした。
--次回はいつ頃、実施される予定ですか?
8月から9月の週末で計画しています。
--その他、アピールしたい点などがあればお書きください。
ARG読書会は今後も継続的に開催していく予定です。途中からでも参加できるようになっていますので、ぜひご参加ください。