GDC2016報告会レポート第3弾「ラウンドテーブル・VR1・VR2」

314日から18日までアメリカ・サンフランシスコで開催された世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2016(以下GDC)
NPO法人IGDA日本は42日に「GDC2016報告会」を開催し、各講演者視点によるGDC2016のふり返りを行いました。
最終回となる今回は「GDCラウンドテーブル」「三大VRシステムの所感」「VRコンテンツ作成のノウハウ」をテーマに行われた講演概要をレポートします。

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GDCラウンドテーブル2016

参加者全員で机を囲み、同じテーマでディスカッションを行ったり、知見を持ち寄ったりするラウンドテーブル。各々のセッションは1時間単位で行われ、中には1つのテーマで3日間開催されるものもあります。最先端の情報が得られる一方で、議論が英語で行われるため、日本人参加者にとっては敷居が高く感じられるのも事実。ポリゴンマジックの小林太郎氏は、GDCで開催されたラウンドテーブルへの参加経験をもとに、注意点やアドバイスなどを語りました。

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小林太郎氏

業界のトップレベルが参加するGDCのラウンドテーブル。小林氏は現場レベルでの新鮮な情報が得られたり、トラブルシューティング的な相談に乗ってもらうこともできるため、学生や就職・転職活動をされている方にも、大変お奨めな場所だと語ります。

実際に幾つかのラウンドテーブルに参加した小林氏。その中でも特に、たくさんのヒントが詰まっていたのが、「League of Legends」などで知られるRiot Gamesが主催した「Production Level Up Roundtable Series」でした。

このラウンドテーブルはチーム対抗戦となっており、プロダクションのレベルアップをテーマに話し合うことを目的としています。テーマは日替わりで設定され、この日は「どのような行動や実践、過程(プロセス)を踏めば、現場を大規模に改善する事ができるか」をテーマに話し合いました。

すべての机が取り払われた風変わりな雰囲気のなかで、まず参加者は事前に渡されたトランプのカードで11個のグループに分けられます。そのうえで、最初の5分はグループ内で半円になり、中心に出て自己紹介を行い、最後に自分の好きなことを発表します。他のメンバーが、それに対して好きか嫌いかを「一歩前に出る」「一歩下がる」行動によってお互いに共有し合います。初対面でも体を使ったコミュニケーションで意識を共有する事により、瞬時にチーム意識が高まったと小林氏はいいます。

続いてマインドマップを作成しながら、ゲーム開発で発生しがちな様々な問題をテーマに、時間も厳密に設定しながらグループディスカッションが行われました。最後に議論を通して生まれたベストな回答を、各チーム代表者がそれぞれ発表していきます。その結果、

「アイディア作成で意識の共有が失敗したならば、なぜ失敗したのかアーカイブ化する」
「開発プランはざっくりではなく、精緻に計算する」
「気分よく、明るく作業ができる環境を作成することで、コミュニケーションやクオリティも上がる」といった回答があがり、ベストな意見をよりベストの形にもっていく過程が体感できました。

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GDCの典型的なラウンドテーブル

時間にして1時間程度の本ラウンドテーブル。しかし内容が非常に濃く、初対面でも意識を共有することで仲間意識が芽生えたうえに、Riot Gamesが社内で実践しているラウンドテーブルが体験できました。

また、たとえ途中でわからない箇所があったとしても、「この単語どういう意味?」と尋ねれば教えてもらえる雰囲気もありました。皆で意見を出し合ったため、様々な観点のアドバイスがもらえ、成功や失敗といった、さまざまな事例の情報共有の場となっていたといいます。チーム内でのコミュニケーション力という観点でも大変有意義な経験だったと、小林氏は振り返りました。

このように参加すれば大きな見返りがあるGDCのラウンドテーブル。ただ、ラウンドテーブルをより楽しむための、必要最低限のスキルもあります。ゲームやゲーム会社、専門分野に関する知識はもちろんのこと、リスニング能力や説明を行うなどの英会話能力。また意外にも、場を和ませるためのジョークスキルも重要です。

ゲームを遊ぶ、ゲームを作る、情報収集を行う、英語に慣れる、大きな声で分かり易く説明する訓練を行う、普段から冗談を言ってみるなどのトレーニングを、普段から行って欲しいと語りました。

また人気のラウンドテーブルでは定員オーバーになりがちなので、15分前に席を確保すること。隣に座っている人にはHELLOと挨拶をすること。開催中に何か一言は話してみること。そして自分のスキルを証明できる作品や、たずさわったゲームを持参することも大事だといいます。

昨年に比べて多数のVR開発者の参加が見られた今年のラウンドテーブル。来年はより多くのVRAR関連の開発者が参加することが予想されます。

またラウンドテーブルとは異なりますが、GDC2017では初の試みとなる「VFXブートキャンプ」も開催予定とのこと。小林氏は「日本のゲームのVFXメイキングを聞きたいという意見を今年は大変多く聞きました。日本のゲーム会社の方も是非GDCで発信して欲しいのと同時に、是非たくさんの方に参加し、知見を共有して欲しい」と語りました。