3月14日から18日までアメリカ・サンフランシスコで開催された世界最大のゲーム開発者会議「Game Developers Conference 2016」(以下GDC)。
NPO法人IGDA日本は4月2日に「GDC2016報告会」を開催し、各講演者視点によるGDC2016のふり返りを行いました。
今回は「GDC Playへの出展」「生産性の向上」「インディーゲームの可能性をテーマ」に行われた講演の概要をレポートします。
本レポートは、全3回予定の2回目となります。
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【札幌からGDCへ GDC Play出展顛末記】
GDCではGDC Playと称した、新興デベロッパー向けの出展スペースがあります。
日本企業がGDC Playに出展すると、どのような展開が待ち受けているのでしょうか。
ニンテンドー3DS用BASICプログラムソフト「プチコン」などで知られるスマイルブームの徳留和人氏が、GDC Playの出展記について語りました。
GDC Playでの出展にあわせて、手軽に3DRPGが作成できる制作ツール「Smile Game Builder」を発表したスマイルブーム。
もともと海外展開を意識しており、「北米ユーザーの実際の声を聞いてみたい」という意図のもと、GDC Playの出展を決めたといいます。
その結果、高い出展意義を感じることができました。
まずGDC Play自体の注目度が非常に高く、ミドルウェアやツールが並ぶ「Expo」フロアとは別会場だったものの、オープンと同時にたくさんの来場者でフロアがあふれかえったと徳留氏は語ります。
その熱意は「他の展示物を見た後で、ついでに寄った」というものではなく、まさにGDC Playがお目当てで参加したと感じられるほど。
来場者から具体的な質問が飛び交い、大変意見交換がしやすい雰囲気がありました。
来場者からも「自分ならこの様に扱う」「ベータ版をリリースする際には私をエントリーして欲しい」といった具体的かつ有意義なフィードバックが貰え、現地コンサルティングとの繋がりも生まれました。
海外パブリッシングのノウハウがないスマイルブーム側としてみれば、これだけで出展の価値は十分にあったといいます。
もっとも、いくつか反省点もありました。
その一つが人種や言語の壁です。
ブースに日本人スタッフ同士で固まっている時間が多かったため、来場者から声がかけづらい雰囲気が生まれてしまったのでは・・・と徳留氏は振り返ります。
海外来場者が話しかけやすいように、彼らにとってフレンドリーな環境づくりを行うことが重要だとアドバイスされました。
また出展者には事前にGDCを取材するメディアのリストが与えられます。
しかし、事前アプローチも不十分でした。
日本メディアからは「GDC Playに日本企業が出展している」と大変好意的に迎えられたものの、多くの海外メディアは他ブースの取材で手一杯になるため、記事露出が低調だったのです。
そのためプレスキットなどを事前に海外メディアに渡しておき、「時間があればミーティングを行いましょう」などと、積極的にアプローチするべきだったとしました。
GDCといえば講演のイメージが強いイベントですが、海外展開を視野に入れているのであれば、GDC Playは積極的に活用すべしと徳留氏は語ります。
フィードバックが大きく、なによりエキサイティングな体験ができるからです。
前向きにチャレンジする価値があるとして、本講演を締めくくりました。