【自動化ーニバルだよ!自動化技術とテストのトレンド】
昨今のゲーム開発で大きなテーマとなっているのが、効率のよいデータの反映や、案件に応じた効果的なQA対応です。
こうした自動化対応やテスト方法のトレンドに関する講演内容が、セガゲームスの竹原涼氏によって共有されました。
講演の前半で解説されたのが、「Delivery Pipeline via Docker」という講演です(GDCVaultで会員むけに動画を限定公開)。内容としては、Riot GamesのMOBA「League of Legend(以下LoL)」におけるDocker(オープンソースのコンテナー管理ソフトウェア)の導入事例となります。
「LoL」ではゲームバランス変更や新キャラクター追加といったデータ更新はPublic Beta Environmentサーバ上で先行テストされます。そして、そこでユーザーから受けたフィードバックをふまえて改修が行われ、本番環境でリリースが行われます。同社ではこのテストプロセスを、「Delivery Pipeline」と名付けています。
しかし、このプロセスは本来ユーザー的に何の価値もありません。そして、このプロセスが短いほどイテレーションが速まり、クオリティが向上するのは明らかです。
講演ではまさに、この「Delivery Pipeline」を短縮させるために、Dockerが導入されたと説明されました。
デリバリー速度短縮の阻害要因には、環境の構築コスト、各種申請、設定コスト、グローバルな開発環境の構築コストなど、様々なものが挙げられます。しかし「Docker」を導入することで、開発者間での環境の違いが抑制され、低オーバーヘッド環境を短時間で構築することができました。
後半で説明されたのが、オンラインゲームのホスティングサイト「KONGREGATE」における、F2Pゲームの効果的なプレイテスト手法についてのセッションです。
「Effective Testing of F2P Games」と称した本講演では、プレイテストにおけるメリットやデメリット、シチュエーションごとの使い分けにが解説されました(GDCVaultで会員むけに動画を限定公開)。
そもそもゲームは、本来であれば想定されるテスト手法の全てを実践したうえで、リリースに望むのが理想だと言えます。
もっとも、実際にはタイトル規模や予算に見合ったものが選択され、テスト計画が立てられるのが一般的でしょう。
これに対してKONGREGATEでは過去のメトリクス結果をもとに、ゲームジャンルごとにテスト時の注目ポイントや指標を設定していると言います。
例えばMMORPGでは最初に安定性を重要ポイントとし、次に14日間のユーザー継続率を10%にまで高めるといった具合です。
また、あらかじめテストにかかる費用を設定しておくことも重要な要素となります。
最後に竹原氏はテスト計画を練る際に、全体予算・スケジュール管理・リリース予定地域といった包括的な視点を持つ必要が出てきたと整理しました。またQAや品質管理といったチームが開発の初期段階からプロジェクトに参加して、長期的な視野に立って開発を支えていくことが求められるとも補足しました。