Game Developers Conference 2016 日本語情報(その3 クラシックゲーム・チュートリアル・IGDA日本推薦)

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GDC2016日本語情報の特設ページです。オススメの講演サマリーの日本語参考訳を掲載していきます。【サミット・VRDC情報はこちら】【メインカンファレンス情報はこちら

クラッシクゲーム・ポストモーテムIGDA日本オススメ 10セッションチュートリアル&ブートキャンプ
クラッシクゲーム・ポストモーテム
CLASSIC GAME POSTMORTEMS

ある時代に最も革新的なゲームを創りだしたクリエイターと一緒に舞台裏を見る旅に出ましょう。時代を代表するゲームタイトルの製作者たちによって学んだことを通じて、それらのゲームが何を生活に与えたのかを理解することでインスピレーションを受けることができるでしょう。


クラシックゲームのポストモーテム:Ms. PAC-MAN
Classic Game Postmortem: Ms. PAC-MAN
Steve Golson  |  Consultant, Independent

ケンブリッジのGeneral Computerにおけるアーケードゲームの改良キット設計によりゲーム業界で名を知られたベテランデザイナー兼エンジニアのSteve Golson(スティーブ・ゴルソン)氏をGDC2016にお招きして、強い影響力を発揮した80年代のアーケードゲーム「Ms. Pac-Man」の振り返りセッションを開催します。
General Computer時代のGolson氏は「Super Missile Attack」のアーケード改良キットからAtari 7800 ProSystemのMariaグラフィックチップ、そして「Food Fight」などのAtariゲームまで、様々な有名プロジェクトに関わっています。
パックマンのアーケード改良キット「Crazy Otto」の開発チームメンバーとしての彼の素晴らしい仕事ぶりを受け、Midway社は同作をライセンスして「Ms. Pac-Man」としてリリースしたところ、米国市場有数のヒットタイトル、かつ影響力の強いアーケードゲームとなっています。
Golson氏は現在、General Computer退職後に1986年に創業した、集積回路を専門とするコンサルタント会社Trilobyte Systemsを経営しています。


Classic Game Postmortem: Diablo
クラシックゲームのポストモーテム:Diablo
David Brevik  |  CEO, Gazillion Entertainment

やがてBlizzard Northとなったスタジオの共同創業者でもあるベテランゲーム開発者David Brevik(デイビッド・ブレヴィック)氏が、GDC2016において同スタジオの革新的作品「ディアブロ」のポストモーテムを行います。
Brevik氏は同作および続編の「ディアブロ2」の開発で重要な役割を果たしましたが、ゲーム業界における長年の活躍の中のハイライトの2つに過ぎないのもたしかです。氏はその後、Flagship Studiosを共同で創業し、Turbine社にて「ダンジョンズ&ドラゴンズオンライン」のリードクリエイターとして活躍し、「Marvel Heroes」の開発元であるGazillion社長を務めています。
Brevik氏は3月のGDC 2016で「ディアブロ」の開発を振り返り、その経験から得た主たる知見を共有し、同作がシングルプレイ用のターンベースのクレイアニメーションDOSゲームから始まり、どのようにジャンルの草分け的古典作品となっていったかを解説します。

想定参加者:
ゲームデザイナー、プログラマーもしくは「ディアブロ」ファンであればどなたでも

IGDA日本オススメ 10セッション

GDCのセッション紹介で、目玉セッションとなっていないセッションのなかから、これは面白うそうだと思われるセッションを10セッションチョイスして、ご紹介します。


レールを外れて:「Bullet Train」開発の舞台裏

Going Off the Rails: The Making of “Bullet Train”
Nick Whiting | Lead Engineer, Epic Games
Nick Donaldson | Senior Designer, Epic Games

Track: Game VR/AR

Epic GamesのVRデモ「Bullet Train」の制作を最初から最後までご紹介するセッションです。従来は受動型の体験だったものにインタラクティブ要素を追加したユーザーエクスペリエンスによる設計面での配慮に焦点を当て、検討はしたものの不採用となった別のアプローチも解説します。関わることになるゲーム内世界に対するプレイヤーの期待値に合わせるために当初の設計判断から離れることになった要素についても紹介します。

得られる情報:
少人数チームがわずか10週間でVRデモ「Bullet Train」をゼロから丸々作り出した舞台裏をご紹介し、非常に動的なインタラクティブVR体験に対するプレイヤーの期待値に見合ったものを作るための設計上の具体的な配慮やトレードオフを解説します。


旅は道連れ:ソーシャルVRという体験

Don’t Go Alone – Take Me! The Social VR Experience
Katie Goode | Creative Director, Triangular Pixels

Track: Game VR/AR

VRが新たな媒体として万人に受け入れられるようにするにはソーシャルVRが抜きん出て重要といえるでしょう。Nintendo of Americaの社長であるReggie Fils-Aime(レジー・フィサメイ)氏はVRについて、「楽しくないし社交的でもない。ただの技術でしかない」とコメントしていますが、VRは実際、現段階で既にソーシャル体験となっており、Fils-Aime氏はまだその可能性を体験されていないだけなのです。
Triangular PixelsはVRをヘッドマウントディスプレイの制約から解放しようと長い時間をかけてきました。「Smash Hit Plunder」から、多数の賞を受賞した「Double Destruction」に至るソーシャルVRゲームを通じ、同社が目にしてきたものの具体例を交え、設計から実装のさわりまでを学べます。

得られる情報:
我々人間の社会的接触に対するニーズ、ユーザーが一緒にVRを体験できていると感じるようなシンプルな設計上の改良のしかた、シングルプレイゲームでもソーシャルたりえる可能性、そしてVRをお茶の間向けの体験にするための工夫について学べます。


Rocket League: The Road From Cult Classic to Surprise Success
Rocket League:カルトクラシックからサプライズヒットへの道
Corey Davis | Design Director, Psyonix

Track: ゲームデザイン

Psyonix社にとって意外なヒットとなった2015年の「Rocket League」ですが、ローンチ版の同作は仕様のカットや失敗作のプロトタイプを多く含む長期間のプロセスの産物だったのです。本セッションでは「Rocket League」の開発チームが焦点を見失わず、理性をたもって設計をしていったことで頓挫せずにシンプルながら奥行きのある体験を実現させるに至った事例を、Psyonix社デザインディレクター、Corey Davis(コーリー・デイビス)氏がご紹介します。チームがどのようにして「車でサッカー」なゲームモードに注力しようと判断し、ニッチでハードコアなゲームをワイドヒットとなった続編へと拡張し、これらの原則に基づいて開発途中で小さいながらも必要不可欠な舵取りをしていったかを学べます。

得られる情報:
焦点を絞った理性的デザインが「Rocket League」の成功にどのように寄与したか、およびそれらの原則を自分の作品にどのような活用できるかを学べます。

想定参加者:
簡便なゲームデザイン、「Rocket League」がゲームデザイン的観点でどのように開発されたか、理性ある設計の便利な事例やケーススタディに興味のあるゲーム開発者。


「World of Tanks」:基本プレイ無料で家庭用界隈に切り込むには
World of Tanks: Disrupting the Console Space with F2P
TJ Wagner | Creative Director, Executive Producer, Wargaming.net

Track: プロダクション,ビジネス、マーケティング&マネジメント

Xbox 360版の「World of Tanks」は、家庭用機ではこれまでで最も成功を収めた基本プレイ無料のゲームといえます。単純な移植ではなく、ゲーム、サーバーおよびXbox Liveまわりで前例のなかった様々な事項が必要となりました。同作はXbox One版が開発中で、時に痛みを伴うものの、最終的には得るものが多い先駆者的アプローチを今後も続ける予定です。
本セッションでは「World of Tanks」のXbox 360版がどのように作られたか、そしてXbox One版でのこれまでおよび現在の課題について紹介します。ゲーム、システム、アートスタイル、UI、マネタイズ、成長システムおよびインフラを含むあらゆる面において変更が必要となった一例です。

得られる情報:
過去1年間で400万人超のユニークユーザーに遊んでいただいた当社の経験から、当社が大ヒットした基本プレイ無料タイトルをどのようにして家庭用機ユーザー向けに移植したのか、どのような要素が変更や作り直しを必要とするのか、そしてプレイヤーコミュニティをいかにして育て、維持するかについて学べます。

想定参加者:
ゲーム開発者/基本プレイ無料のゲームや家庭用機向けの開発に興味のあるパブリッシャ。家庭用機向けのMMO、シューティングゲーム、ストラテジーゲームに興味のあるゲームデザイナー。制作およびサポートサイドの専門家や、ゲーム開発を志望する方々。ゲームないしビジネスとしてのゲームへの興味以外に特に必要事項はありません。


ゲームかギャンブルか依存症か? 科学視点、法務視点でのアイテム課金
Gaming, Gambling or Addiction? F2P Scientific and Legal Perspectives
Ryan Black | Partner; Co-Chair, Information Technology, McMillan LLP
Tyler Black | Medical Director, Child and Adolescent Psychiatric Emergency Unit, BC Children’s Hospital

Track: F2Pサミット

基本プレイ無料のゲームは意図的にプレイヤーの熱中及びマネタイズを促進する設計となっているものです。しばしば善意によるものとはいえ、重課金ユーザーを追い求めることで政治家や扇動家など、ゲームに対しネガティブな先入観を抱いている方々から不要な注目や、時に規制を受けうることを歴史が証明しています。

法的な実態はどうなっているのか、そして科学的にはどうなのか? カジノ、規制下の産業や、過去のモラルパニック事案(コミックやオペラなども含む!)などとの比較を通じ、小児精神科医のTyler Black(タイラー・ブラック)とビデオゲーム弁護士のRyan Black(ライアン・ブラック)両氏が依存症、ゲームに対する規制、そして楽しく利益の出るゲーム作りと、不健康な行動を促すこととの繊細なバランスとりについて解説します。

得られる情報:
ゲーマーのマネタイズが政府による規制の対象になりやすい(かつ、世界中でなってきた)理由に関する歴史的、科学的、法務的な視点、および、ゲーム開発者がユーザーによる不健康な行動を搾取したり促進したりすることなく、健康的で遊び甲斐のあるゲームプレイを推進するにはどうすればいいかの理解が得られるでしょう。


オープンワールドゲーム開発反省会:「ウィッチャー3」の開発から得た教訓
Here Be Dragons, or Lessons Learned in the Development of The Witcher 3: Wild Hunt
Balazs Torok | Principal Programmer, CD PROJEKT RED

Track: プログラミング,プロダクション

本セッションでは「ウィッチャー3」の開発中に遭遇した苦難の多くを掘り下げます。3つのプラットホーム用に同作のような大規模なオープンワールドゲームを開発するともなると、落とし穴になりうる要素は数多く存在します。この講演では実用的な話題に注力し、開発中に浮上した課題およびそれらに対するアプローチ、いくつかの問題がいかに検出され解決されたかなどを解説します。

得られる情報:
「ウィッチャー3」の開発においてメモリ管理やレンダリングパフォーマンスなどの現実的問題がどのように解決されたかという、他のオープンワールドゲーム および/または 次世代家庭用機タイトルの開発に直接応用可能な知見を学べるでしょう。

想定参加者:
プログラマー、およびプログラマーと密接に連携する仕事をしているプロデューサー。基本をひと通り網羅しつつ各種の命題も紹介していく予定です。次世代コンシューマ機について知っていれば詳細が理解しやすいかもしれません。


(人材)開発のためのルール
Rules for Development (of People)
Julie Farbaniec | Senior HR Manager, Blizzard Entertainment

ゲーム制作はどのような成果物が出てくるかが占めるウェイトが大きいものの、Blizzard社では過程も同じくらい、そして時には成果物以上に、重視しています。健全な形で連携し、お互いを信頼し合い、確実な軸合わせを可能にするのは、人を育てようと明確に重視しない限り困難な命題になりえます。Blizzardでは社員の成長を促進させる一助となる4つのコアルールを設定しています。本セッションではこれらのルールを解説し、(シンプルさとコスト削減を重視した)実用例を説明することで開発者やスタジオ幹部が自チームに持ち帰って応用できるようにします。

得られる情報:
スタジオの規模にかかわらず適用しやすい、個人やチームの成長を目的とした実用的な案をご紹介します。Blizzardがいかにゲーム作品のみならず、人的側面についても継続的な改善を重視しているかをお見せできるはずです。

想定参加者:
スタジオ幹部、プロデューサー、チームリーダー、および開発者やチームをうまく成長させる実用案に興味のある方々にとって有意義なセッションとなるはずです。


Taking Minecraft to School: Re-Engineering the Game for Learning
マインクラフト、学校へ:教育目的でのリエンジニアリング
Michelle Dauphiny Becker | Executive Producer, Minecraft in Education, Microsoft

Track:アドボカシー

マインクラフトは教育的なゲームではなく、教育に活用されているゲームです。Javaベースの同作およびサーバーを教室にセットアップするハードルの高さにもかかわらず、1万校を超える学校で足がかりを得ています。本セッションではマインクラフトの開発チームとそのパートナーたちがどのようにして参入ハードルを下げ、人気ある同作を世界中の初等・中等教育の現場でプレイ可能にしたかを紹介します。さらには教育用に追加された特殊仕様についても解説し、自作品に同様の変更をする場合に向けた提案をします。

得られる情報:
市場としての教育方面、および教室でのゲームというユニークな使用例に関する知見を共有します。加えて、人気作品を及第点にとどめず学校向けならではの快作と呼べる形にカスタマイズしていった舞台裏をも紹介します。

想定参加者:
どなたでも歓迎です。必要条件はありません。


「アンチャーテッド4」のテクニカルアート・カルチャー
Technical Art Culture of Uncharted 4
Andrew Maximov | Senior Artist, Naughty Dog Inc.

Track:ビジュアルアート,プログラミング

「アンチャーテッド4」のテクニカルアート面は、Naughty Dog社が現世代のアートパイプラインの地盤となっている技術を生み出す際に得た教訓を存分に反映したものとなっています。E3用デモ版のような大規模なステージのシームレスなレンダリングをも可能にした、当社のインタラクティブな木の葉アニメーション技術、衣類、髪および毛皮のシミュレーション、独自の詳細度自動調整技術がどのように誕生したか、ランタイムでのソフトボディ処理による車両の変形、ランタイムでのオブジェクト生成自動化ソリューション、ツールアナリティクスなどについてご紹介します。これらはほとんどアート部門の内製で開発しています。
さらなる見どころとして、効果的なテクニカルアートの条件、導入に際した難点、自責ゆえの無知が何かを生み出す力になりうる理由、「実力とはそれまでボツにした一番いい仕事で決まる」という格言、部門間の垣根をなくすことでマンパワーを抱えずとも問題対処に活用できるマンパワーを増やせること、技術の枠を越えたコミュニケーション が対人コミュニケーションの次点の素晴らしきものであること、こまかな技術的仕事に勝る重要性などないということ、そして軸となる芸術的原則が技術の誕生に直に応用可能であることなどを議題にします。

得られる情報:
「アンチャーテッド4」の制作を通じて得られた技術面および政策面の実用的な教訓をご紹介します。

想定参加者:
アート、テクニカルアート、ツールやシェーダーのプログラミング、パイプラインのセットアップ、技術の導入、ツールアナリティクス、そしてもちろん「アンチャーテッド」シリーズそのものに興味のある方は大歓迎です!

チュートリアル&ブートキャンプ
TUTORIALS & BOOTCAMPS

GDCでは、チュートリアルとブートキャンプのバラエティを用意しています。チュートリアルとブーキャンプは1日以上をフルに使ってそれぞれのトピックに集中して深く学べるようになっています。ゲーム開発産業で最高で輝かしい講演者たちと情報をわかちあい学ぶために参加してください。
チュートリアルとブートキャンプの申し込みは先着順です。


 

<月曜日と火曜日>


ゲームデザインワークショップ
Game Design Workshop

セッション内容
このセッションでは、日々のゲーム開発について、グループでの実践、討論、分析、批評などを通じて探っていきます。参加者は自分たちでゲームデザインを洗練する過程を体験することができ、より良いゲームを設計するためのアイデアを学ぶでしょう。
ゲームデザインに対して正攻法で取組み、ゲームそのものを一つのシステムとして見たうえで、その仕組みやダイナミズム、総合デザインなどを分析していきます。ゲームデザインを始める前から、総合デザインを理解しなければなりません。言い換えれば、ゲームがどんな楽しみをユーザーに与えるかを、一つ一つ検討しなければなりません。各種の目的に応じたゲームの総合デザインモデルを構築することによって、成功と失敗がいかにして起こるのかを理論化していくことができるようになります。

このワークショップでは、参加者に総合デザインモデルを提示し、自分自身のモデルを構築していただきます。ゲームデザインの実践を通じて、総合デザインモデルを制作過程での有効なツールとして使っていただけるでしょう。いくつかのグループに分かれてゲームをプレイしていただき、そのゲームの持つ総合デザインのゴールとモデルを分析していただきます。各グループには違うゲームをプレイしていただきますので、違ったアイデアが見出されることになります。最後にはお互いの考えを共有していただきます。

ゲームごとに参加者には、たどるべき具体的手法が提示されます。実践をすることによって、新しい要素を加えたり、必要な要素を見出して、デザインの流れを見直すことができるでしょう。参加者はゲームデザインの基礎を分析し特定し、制約の中でデザインをどうやって完成させるかを考えなければなりません。
デジタル・非デジタルメディアにおいて、インタラクティブデザインがどのように利用されているかを理解できるでしょう。分析と考察の他に、グループワークを通じて、共同でのデザインや、ブレインストーミング、批判的分析、ディスカッションなどの実践的経験を積むことができるでしょう。


<月曜日>


チュートリアルデー:先進的グラフィックテクニック
Advanced Graphics Techniques Tutorial Day

セッション内容
本チュートリアルではゲーム業界をリードするハードウェア、ソフトウェア各社の連携により、Direct3D の技術を性能重視のGPU向けの最先端PCゲームグラフィックに適用する方法を1日日程で掘り下げます。主にDirectX 11での問題解決に焦点を当てた詳細なプレゼンに加え、DirectX 12の性能を引き出すためのヒントも紹介します。講師陣はAMD社およびNVIDIA社のデモチームおよびデベロッパーテクノロジーチーム、そして現役で市場に本格タイトルをリリースしているトップレベルのゲーム開発者数名が務めます。本チュートリアルでは高度なリアルタイム視覚エフェクトの詳細を例示するほか、エンジンやシェーダーを設計する際に開発者が念頭に置くべき一連のベンダー非依存の最適化項目を解説します。そして最後に、DirectX 12を最大限に活用する方法を例示したハンズオンの実践セッションも実施します。


アニメーションブートキャンプ
Animation Bootcamp

セッション内容
ゲームの技術とナラティブがキャラクターの描写をより入念なものにしつつある中、ゲームのアニメーションが集める注目はますます大きくなってきています。しかしそのような注目の中で、ゲームアニメーションのノウハウ共有や技巧の適用、そして業界全体への関与の面で、業界全体に及ぶ隔絶があることも判明しています。
1日日程の本ブートキャンプではAAAからインディーに至るまで、経験豊富で専門性の高いアニメーターが一堂に会し、業界全体から集まったアニメーター各位と共にゲームアニメーションのニーズに関する議論を掘り下げていきます。時程としては、キャラクターの演技を定着させ、伝える方法に焦点を当てるアニメーション従来の切り口でのセッションに始まり、1日かけてその知識を様々なツールや手法を通じてゲーム開発に応用する最良の方法について検討します。ゲームならではの制約やニーズにより、新世代のアニメーターが必要とされつつあることが見えてくることでしょう。

アニメーションブートキャンプのセッション時程:

キャラ立ちを可能にするアニメーション(午前10:00-11:00)
EA UFC2:プロシージャル処理による多様なアニメーションの実現(午前11:20-午後12:20)
Rain World のアニメーションプロセス(午後01:20-01:50)
スカイランダーズのカットシーン:300を超えるキャラの登場するナラティブ主導のカットシーン制作(午後02:10-2:40)
ワンタッチでアニメーション:Ubisoft Montrealにおけるモーションキャプチャー自動化テクニック(午後03:00-3:30)
モーションフィールドに対するアニメーターのアプローチ(午後03:50-4:20)
アニメーター7つ道具(午後04:40-05:10)
アニメーション系マイクロトーク(05:30-6:30)


アートディレクションブートキャンプ
Art Direction Bootcamp

セッション内容
アートディレクションブートキャンプはGDCブートキャンプの流れを汲んだ1日日程のもので、アートディレクション、および、より広い芸術的なビジョンに特化したものとなっています。ゲーム業界の最前線で活躍するアート分野の逸材たちが自らの経験を共有し、現行の重要な問題を議題に挙げます。アート面で何が本当に重要なのか、そしてビジョンを構築したり維持したりしつつ、取り組みを通じて味方を増やしていく方法について余すところなく学べます。
業界トップレベルの凄腕たちが紹介する、アートに特化した豊富な情報は、新人や学生のみならず、現状直面している問題や業界の実態などを懸念するベテランにも聞き応えあるものとなるでしょう。ゲームのアートに対し強い情熱をもっている新規の方々も歓迎します。


ゲームプログラマのための数学
Math for Game Programmers

セッション内容
ゲームプラットホームの進化と多様化が進むにつれ、現代のプログラマが直面する問題の複雑さと多様性も増してきています。最先端のグラフィック、ゲームプレイ、アニメーション、物理シミュレーション、果てはAIに至るまで、コードを生み出すには数学的基盤に精通していることが不可欠です。本チュートリアルでは「プログラマのための数学」チュートリアルの伝統を踏襲する形で、ゲーム関連の数学界隈屈指の講師が集結し、独創的で洗練された2D・3Dグラフィック、実用的な物理シミュレーション、そして繊細で魅力的なゲームプレイを生み出す際に中核となる数学に注力します。
1日かけてプログラマに重要なゲーム開発の問題を扱い、プログラミングのコンテキストとガイダンスを十二分にご提供します。本年のトピックは放射基底関数、浮動小数点のハック、迅速かつファンキーな非線形変換、速度ベースのインタラクティブキネティクス(IK)、測地・手製・プロシージャー生成のそれぞれによるジオメトリの混成、およびゲームにおける応用的数学の豆知識を紹介します。また、ボーナスステージとして1日の終わりにゲームプログラミングに関連した数学をテーマとした一連のマイクロトークで締めくくります。


1日集中:ストーリーテリングの基礎
Storytelling Fundamentals in a Day

セッション内容
ゲーム作品のナラティブの質を上げたいと考えている方々向けに設定された、ストーリー開発の基礎に関するダイナミックで引き込まれる講演です。MarvelとLucasfilmで活躍したベテランライターのEvan Skolnick(エヴァン・スコルニック)氏が司会を務めるこの総合チュートリアルではナラティブの構造、力強い登場人物描写、ストーリーテリングのベストプラクティスなどを扱います。程度の差はあれども、開発チームのメンバーのほとんど全員が何らかの形でゲームのナラティブの実装に寄与し、ストーリーテラーとなります。ですがチームメンバー間でストーリーについて話し合う際に共通言語的なものがないと、ナラティブの焦点がぼやけてしまう可能性が高くなります。本セッションはそのような共通の基準となりうる枠組みを提供し、チーム全員がゲームのストーリーを同じ方向に牽引できるように工夫されています。
かなりの回数を重ねてきたこの人気チュートリアルのこれまでの受講者はライター、ゲームデザイナー、アーティスト、アニメーター、エンジニアおよびプロデューサーなど多伎に渡っており、「素晴らしい」「媒体の発展に不可欠な知識」といった好評をいただいています。


<火曜日>


オーディオブートキャンプ
Audio Bootcamp

セッション内容
ゲームサウンド分野で成功を収めるのに必要な技術、創造性、ロジスティクス関連のトピックに焦点を当てるGDCオーディオブートキャンプも、今年で14年目となりました。業界各方面の専門家が自らの経験を踏まえて作曲、サウンドデザイン、デジタル信号処理、オーディオミキシング、大小のスタジオでの仕事のロジスティクスなどについて講演します。ランチタイムには講演者の多くと少人数グループでの交流機会を設け、参加者視点で気になるインタラクティブオーディオ関連のトピックを話し合えるようにします。


1日集中:レベルデザイン
Level Design in a Day

セッション内容
本セッションでは業界各方面の有名レベルデザイナーが集結し、レベルデザインの芸術面および技術面について独自の視点で語ります。「ラスト・オブ・アス」のおそろしげな世界から「ディアブロIII」の手に汗握るテンポまで、各講演者がレベルデザインの発案、実装および進化について知見を共有します。多様な顔ぶれのゲームクリエイター陣がレベルデザインという専門を従来型の講演、視聴者参加型の質疑応答セッション、そしてポートフォリオのレビューや面接演習などを通じて1対1での指導も行います。


プロデューサーブートキャンプ
Producer Bootcamp

セッション内容
ゲーム制作は楽しいものですが、同時に難しくもあります。新しい世代のゲームが現れるたびに複雑さと消費者の要求は増していきます。モバイル端末、web、最新型コンソール、PCのどれに向けて製品を作るにしても、プロダクションはより重大な責任を負うようになりました。優秀なプロデューサーと言うのは、ただの追いたて役ではありません。彼らはチームを運営し、コミュニケーションを円滑にし、もめ事を仲裁し、リスクを低減し、mらいを予測して、仕事全般をやりやすくする役割を負っているのです。プロデューサーブートキャンプでは、業界経験がありつつもプロデューサーとしては新人の方に必須のスキルをお教えいたします。


テクニカルアーティストブートキャンプ
Technical Artist Bootcamp

セッション内容
多伎に及び、間口も広いテクニカルアーティストの仕事は、他のほとんどの専門よりも速いペースで前進を続けているといえるでしょう。リギング、Python、パイプライン、シェーダー、ユニットテストなどはいずれも周知され理解されています。脚を延ばして前進を試みるべき時なのです。大規模なスタジオにはより高性能なツールチェーンとプロ向けの開発環境が必要で、小規模チームでは各メンバーの技術力が試されます。テクニカルアーティストは効率を確保するのがいかに難しいかを承知しています。及第点のツールではもはや不十分なのです。テクニカルアーティストはツールやワークフローの設計時にいかにユーザーエクスペリエンスに注力するかを学べるでしょう。テクニカルアニメーターはアニメーションシステムの迅速なプロトタイプを可能にするテクニックを学べます。これは従来からオーサリングが最も複雑な領域のひとつでした。アセット処理の自動化、カットシーン用の高速ワークフロー、およびランタイム用のアセットパフォーマンスの最適化なども扱います。