TGSスカラーシップでスタジオツアー実施

CEDECスカラーシップにひきつづき、9月16日に実施されたTGSスカラーシップむけスタジオツアー。ゲーム業界をめざす学生むけに、ゲーム業界の現状や会社の雰囲気を知ってもらうために5年前から実施されています。今年のTGSスタジオツアーではディー・エヌ・エー、ランド・ホー、Aimingの3社に御協賛いただき、9名のスカラーが訪問しました。いずれも短時間ながら非常に濃密なプログラムで、スカラーにとっては、すばらしい体験となりました。

はじめに訪問したディー・エヌ・エーでは、会社説明を経て社内見学が行われました。エントランス、ミーティングスペース、カフェラウンジを経て、いよいよゲームの開発フロアへ進んでいきます。フロアは整然とした中にも機能性が感じられるものでした。フロアの隅には家庭用ゲームがプレイ出来るリラクゼーションコーナーもあり、広報用の写真が撮影される一幕もありました。

続いて行われたのが、若手ゲームデザイナー向けの企画ワークショップです。学生や新人ゲームデザイナーを招いて、定期的に開催しているゲーム企画塾「座・芸夢」の仕掛け人でもある同社の馬場保仁氏の説明で「双六ワークショップ」がスタート。4ー5人のチームに分かれて双六のマス目をうめていくというもので、スカラーはみな初対面にもかかわらず、すぐにわいわい、がやがや。日本人2人、アメリカ人2人というグループでは、スクワットや腕立て伏せを行うといったマス目も登場し、エクササイズに向いた内容になるなど、これまでにないユニークなものになりました。

ワークショップの終了後は同社の先輩社員を交えて、お弁当をいただきながら質疑応答タイム。ワークショップやお弁当の効果もあってか、和気あいあいとした雰囲気で質疑応答が進み、ふだん聞けないような内容までじっくりと質問できたようでした。

続いて訪問したランド・ホーでは、会社説明が日本語と英語の両方で実施されました。第2回目から毎年、スタジオツアーに協力いただいている同社では、UBIの『ジャストダンス』シリーズをはじめ、海外向け営業に力を入れています。例年TGSスカラーシップでは日本人より外国人の参加率が高く、同社での「英語会社プレゼンテーション」は日本人スカラーにとって非常に新鮮な体験となるのですが、今年は日本人が7名、アメリカ人が2名という構成だけに、日本語と英語の両方で説明。内容はパブリッシャーとディベロッパーの違いや、それぞれの企業の働き方の違いというもので、一般的に有名パブリッシャーの名前しか知らない学生にとって、「ディベロッパー」という存在自体が新鮮に映ったようでした。

会社説明が終わると開発ルームの見学が行われました。3フロアある同社のうち、1フロアは機密性の高い開発が進行中とのことで立ち入りが禁じられましたが、残り2フロアはじっくりと見学が可能でした。日本の多くのディベロッパーと同じく、もともと家庭用ゲームの受注開発で起業しましたが、現在はモバイルゲームにシフトしているという同社。今回CEDEC・TGSを通して訪れたほとんどの企業で、机に名札が張られており、社員の入れ替わりの激しさや席替えの多さが忍ばれましたが、同社はそういった施策がなく、気心の知れた顔なじみの社員同士で、アットホームな開発が行われている印象を抱かせました。

最後に訪問したのが、CEDECスタジオツアーにも協賛いただいたAimingです。会社説明・開発ルームの見学・社員との座談会という内容でしたが、特筆すべきは座談会の内容です。CEDECスタジオツアーでもプログラマー・アーティスト・ゲームデザイナーの志望者別に小グループでわかれて先輩社員との質疑応答が行われましたが、今回はなんとスカラーよりも先輩社員の数の方が多いという驚きの内容。しかも3Dモデラー志望、テクニカルアーティスト志望、ローカライズ志望といった具合に、学生各々の志望内容に応じて社員の割り振りが行われていました。

自分も個人的興味もあり、ローカライズ志望の学生の後ろで話を聞いており、同社のスタイルがよく理解できました。一般的にローカライズというと、ゲームのテキスト翻訳をする仕事と捉えられがちですが、同社ではタイトル選定から運営業務を含む非常に広範囲な内容となっており、ローカライズにおいては協力会社と共にテキストやグラフィックだけでなく、UIや操作性の改修なども行われるとのことでした。雰囲気も非常にフランクなもので、時間もたっぷり50分程度とられており、スカラーはみな社員と1対1で(人によっては1対2で)自分の専門にあわせて、ディスカッションを楽しんでいました。(小野)