CEDECスカラーシップでスタジオツアー実施

IGDAは世界3地域・6会場(米:GDC・E3、欧:GDC Europe・Gamescom、日:CEDEC・東京ゲームショウ)でスカラーシップを開催するにあたり、現地のスタジオツアーを実施しています。ふだん学生の立ち場ではなかなか知ることのできない開発現場を直接見学したり、ゲーム開発者とディスカッションなどをすることで、ゲーム開発や業界について深く知ってもらうことを目的としており、IGDAが非常に力を入れている施策の一つです。日本でも2011年より毎年開催されており、CEDEC2015の開催前日にあたる8月25日に、Aiming、たゆたう、ジープラの三社を9名のスカラーが訪問しました。

スタジオツアーでは通常「会社概要の説明」「開発室の見学」「社員との質疑応答」などが、各社の事情にあわせて60分〜90分程度実施されます。通常の会社見学やインターンシップなどと異なり、短時間で複数社のスタジオを見学できるため、大ざっぱな印象にすぎないものの、それぞれの特徴や比較などが可能です(そして多くの場合、そうした第一印象が重要だったりします)。実際に例年引率をしている筆者の目から見ても、ゲーム会社はどこも個性的です。特に開発室の雰囲気が知らず知らずのうちに、各社の社風やゲームづくりと深く関係しているように感じられます。こうした雰囲気を掴んでもらうことも、スタジオツアーの目的の一つです。

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はじめに訪問したAimingでは、会社説明が行われた後、先輩社員との質疑応答の時間が30分程度とられました。質疑応答はプログラマー・アーティスト・ゲームデザイナーの志望者別に小グループで行われ、スカラーが持参したデモやポートフォリオを見せてフィードバックを受ける姿も見られました。その後、開発室の見学が行われ、はじめて入る開発室の風景にスカラーはみな強い印象を受けたようでした。同社の開発室は役職別ではなく、プロジェクト単位で机が並べられ、パーティションがなく、フロアが広々としていました。また急速に会社が成長していることもあり、机の上に名札が設置されていたのが印象的でした。

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続いて訪問したたゆたうでは、会社説明が掘り下げて行われました。同社の大きな特徴として、三社のうち外国人の開発者比率が20%弱と一番多く、開発室も国際的な雰囲気が感じられました。同社によると「優秀な人材を採用していった結果で、特に日本人・外国人という区別はしていない」とのことです。一方で日本で働きたい外国人は、みなゲームやアニメなどの影響からか日本語がうまく、「外国人比率が増えても社内の英語スキルは変わらない・・・」とこぼされる一面もありました。また開発室をじっくり見学することができ、外国人のCGアーティストに対して働きぶりなどについて、直接聞く光景なども見られました。

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最後に訪問したジープラでは、ポリゴンマジックグループ代表の鶴谷武親社長からゲーム業界の現状と、働く上での心構えなどに関する「特別講義」が行われました。鶴谷氏はアナログ時代では一つの技術で一生食えたが、デジタル化で変化の速度が速まり、今や10年単位で基盤技術が変化していると指摘。同社でも恒常的に社員の「学び直し」が行われているとあかしました。一方でゲームを構成するさまざまな要素は他の業界でも広く応用が利くと分析し、常に社会の事例についてアンテナを掲げておく重要性を指摘。開発室の見学では広々とした社内もさることながら、マッサージ室が完備されている点に驚きの声が上がっていました。

IGDA日本では東京ゲームショウの前日にも、同様にスタジオツアーを実施する予定です。またスカラーシップ終了後は参加者から例年、参加レポートが公開されます。業界志望のスカラーたちが、スタジオツアーそしてCEDECや東京ゲームショウといったイベントを通して何を学び、どのような刺激を受けたのか、主催者側としても非常に楽しみです。(小野)