洋書「Tabletop: Analog Game Design」の キンドル版が100円でセール中

洋書「Tabletop: Analog Game Design」の
キンドル版が100円でセール中

デジタルゲームではゲームデザインに関する数多くの書籍が出版されているのに対して、アナログゲームでは海外でも、その数は相対的に少ないのが現状です。こうした中、2011年に出版された「Tabletop: Analog Game Design」のキンドル版が100円でセールされていましたので、ご紹介します。

まだ自分もざっとしか見ていませんが、本書はアナログゲームのゲームデザイナーや業界関係者が、ゲームデザインやそれに類する内容を記したエッセイ集のようです。大きく「デザイン」「分析」「研究」の三部構成となっており、全22本の記事が掲載されています。内容は多岐にわたる一方で、図版などはありません。そのため体裁的には「ゲームクリエイターが知るべき97のこと」に似ています。

編者の一人、グレッグ・コスティキャンはテーブルトークRPG「パラノイア」のゲームデザイナーで、日本でも「コスティキャンのゲーム論」で知られています。もう一人のドリュー・デイビッドソンはゲーム開発者教育&研究で有名な、カーネギーメロン大学のエンターテインメントテクノロジーセンターでディレクターを務めている人物で、内容に奥行きを与えています。

ちなみに本書のタイトルにもなっている「Tabletop」とは、テーブル上で遊ぶゲームの総称で、いわゆるボードゲームやカードゲーム、そして日本で言うところの「テーブルトークRPG」も含んでいます。そのため内容は(ざっと見た限り)テーブルトークRPGに力点を置きつつも、それだけに留まらない普遍的な議論が行われています(コスティキャンのゲーム論でも、デジタル・アナログをふくむ、ゲーム全般に関して議論されています)。

このように本書はアナログゲームの具体的なデザインプロセスが学べるというものではありません。しかし、その背後にあるゲームデザイナーのマインドセットが感じられると思いますので、興味があればぜひ購入してもらえらば幸いです。なによりデジタルゲームとアナログゲームの言説を産学でつなごうとする試みが、すでに2011年から商業出版で行われていたことに、あらためて英語圏のゲーム開発者・研究者の奥深さを感じざるを得ません。

カテゴリー: BOOK