CEDECスカラーシップでは初日の会社見学やCEDEC後の懇親会等を含めて4日間に渡って濃密な体験ができました。
会社見学では、ジープラさん、サイバードさん、エイミングさんでエンジニア志望としてお話を伺いました。どの企業さんも面白いゲームを作ろうということに違いはないのですが、企業ごとに異なる企業理念を持っていたり、異なるアプローチで制作をしていたり、その違いがとても面白く勉強になりました。また、普段聞けないような企業やチームで制作するが故の苦労話を聞くことができて、より具体的にゲーム会社に就職することについてのイメージができるようになりました。
更に、職種(エンジニア、プランナー、デザイナー、企業によっては+バックグラウンド等)ごとに個別でお話を伺える時間や質問時間があり、私はプログラマー志望としてお話を伺いました。例えば、技術以外でプログラマーが学生のうちに学んで置いたほうがいいもの(例えばGitなど)について伺うことができたり、自分の作品を見ていただけたり自分にフォーカスした話も伺えたので、今学ぶべきもの、長期的にみて学んでおくと役立つものについて知ることができました。
CEDEC本番では、エンジニア向けを中心に15セッションに参加しました。中でもエンジニアのセッションではサイゲームスさんの「リアルタイム雲レンダリングのノンフォトリアル表現と高速化事例」。エンジニア向け以外ではナイアンティックさんの基調講演「GO OUTSIDE! Adventures on foot」がとても印象に残っています。
サイゲームスさんの講演では、学生では学びにくい技術研究について公演していただきました。エンジニアとしての技術的なことはもちろん、今のアプローチではいくら技術的に努力をしても処理速度などの理由から実現ができないとわかった時の発想の転換の大切さを感じました。学生レベルではロジックが正しければエンジニアとしては問題ない場合が多いですが、レンダリング周りになると処理が重い分、最適化を意識しなければならず、今後は実現が難しそうな場合は凝り固まらずに、早い段階で他のアプローチを模索するようにしていきたいと思います。
ナイアンティックさんの講演では「ポケモンGO」や、その元である「Ingress」の制作を例に、他業界(グーグルさん)で働いていたからこそ見える、ゲームユーザーが求める以上のゲームの作り方を学べた気がします。というのも通常はどう面白いゲームを作るのか、どうアクティブ率を保つかなどを考えながら企画を立てたり、運用したりするものだと思うのですが、ナイアンティックさんはどう面白いゲームを作るかではなく、どうユーザーの現実にポジティブな影響を与えるか、どうアクティブ率を保つかではなく、どれほどユーザーに歩いてもらうかを意識していました。これはよくあるフレンド機能等と近いものがあり、現実と紐づけることで継続率が自然と高まります。
また、歩くという健康的で誰もができる行動をさせ、現実にポジティブな影響を与えることで、ゲームに偏見のある層にもプレイしてもらえることができます。こういった話は最新の情報を企業の方から直々に講演していただけるCEDECだからこそ聞ける内容だと思いました。技術的にも「ポケモンGO」や「Ingress」は、サーバーを複数に分けるのではなく、拡張現実なのだからということで、現実と同様すべてのユーザーが1つのサーバーで管理していて、考え方は単純ではありますが技術的には相当な苦労があるのだろうと感じました。今のところサーバーサイドは触ったことがないのですが、上記のような発想のもと行うサーバーの構築にはとても興味が湧きました。
余談にはなりますが、デベロッパーズナイトやCEDEC後の懇親会等に参加することで業界の方と話ができ、セッションと違い双方向での情報交換ができるのがとても楽しく刺激になりました。ちなみに、最終日は会社見学でお話をうかがったジープラさんのプログラマーと、カプコンさんのプログラマーの方とお食事ができ、とても距離感の近い会話ができました。